ラジオドラマのことを少し。

ここ数年、FMとやまさんの『西村まさ彦のドラマチックな課外授業』という番組のラジオドラマを書かせて頂いています。
初めて書いたのが、2020年の秋だったみたいなので、ちょうど3年前……。
その後、何本書いたんだろう……。気になったので、数えてみると、

2020年9月『その日、送りバントは』
2021年2月『惑星じゃない私たち』
    3月『道草の日暮れに』
        11月『球体らしい宇宙で。』
2022年3月『春、まよねーず』
        10月『ピース・アンド・ピース』

と、ちょうど6本でした(ちょうど?)。

一作目の脚本を書かせて頂いたときは、まだ脚本家として活動を始めたばかりでした。そこからなんやかんやがあって、少しずつ脚本のお仕事を頂けるようになり、今はなんとか(本当になんとかではあるが)、脚本だけで生活をしている状況です。

お聴きになったことがない方もいると思うので、ご説明すると、『ドラマチックな課外授業』は西村まさ彦さんが演出で、富山の地元の中学生が演じてくださる「8分(多分)×15話」のラジオドラマです。
基本的にはオリジナルで、とても自由に書かせて頂ける場所で、上のタイトルだけ見ても、自分が書きたいものを、その都度、書いていることが分かると思います。

書くときはいつも、そのドラマがどの季節にオンエアされるのか、を個人的にはとても気にします。一ヶ月、お耳を拝借するにあたって、生活の中にある景色や風、匂い、空気と一緒に(それを画として)、耳でドラマを楽しんでもらえることが、ラジオドラマのなによりもの魅力だと思うからです。

通勤や通学、家事をしながら。あるいは、農作業なんかをしながら。はたまた寝る前にベッドに寝転んで。
どんな形でドラマを聴いてくださるのかはわからないのですが、そんなリスナーの方々を少しだけ想像しながら、書いています。

一話だけで見ると、10分にも満たないので、とても短いお話なのですが、それが15話集まるので、実は短めの映画一本分くらいの分量を書いていることになります。そう思うと、なかなかな重みがあるのですが、僕の中では、あくまで短いお話が重なっていくイメージで、そこの軽さやしなやかさを大切にしたいと思っています。なので、普段から聴いて下さっている方からすると、僕のお話は毎回、いささか「軽い」ものかもしれません。

ただそんな軽いお話がふっと、ラジオを聴いていたら入ってきて、それで、日々の重みや悩みが少しだけ和らいだり、深呼吸してみようと思えたり。
そういう毎日に寄り添えるものになればと思って書いています。

一作目を書かせて頂くきっかけになったのは、僕からぶしつけな売り込み? お願いの手紙を書いたからでした。当時、ラジオドラマコンクールでたまたま賞を頂き、逆にそれ以外なんの経歴も経験もなかった僕は、昔から憧れだった西村まさ彦さんがやられている番組に、無謀にも企画書と一緒に受賞作の短編ラジオドラマをお送りし、それがその後、ご縁に繋がり、今に至ります。人生、なにがあるかわかりません。

その後、富山では、映画のお手伝いもさせて頂くようになり、一年に一回伺えるかどうか、ではあるのですが、ずっと富山とのご縁も続いています。

この仕事(脚本業に限らず、なにかをつくる系のフリーランス全般かもしれませんが)の難しさは、仕事が基本的に単発であることです。それはテレビドラマでも、映画でも同じで。基本的にはそのとき限りの仕事です。その、さっぱりとした関係が好きで、この仕事をしているところはあるのですが、それでも人間なので、心細くなるときはあります。さみしくもなります。

でも、そんななかでも、こうして継続的に年に数回、一ヶ月という枠のなかで、オリジナルで、自分の書きたいものを、ゆったりと書かせてもらえる場所があるのは、本当にありがたいなあと思っています。

……と、ここまで書いてきて、結局なにを言いたかったのか、自分でもよくわからないのですが、そんなこんなでずっとお世話になっているFMとやまさんでのラジオドラマがまた明日から始まります(7本目)。

タイトルは『やさしい秋』。

やさしい嘘をめぐるお話です。
秋のことを考えながら、楽しく書きました。

よろしければ、お聴き下さい。
それではまた。

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