『記憶のなかの光』ー詩

目を開けると 僕は眩しい光に照らされていた

光はまるく弧を描き

僕らをその中に閉じ込めた

しあわせな世界

僕らは僕らだけになった

君は僕で 僕は君で 影はひとつになった

ときたま光は消え

僕たちは闇を彷徨った

そうしてまた光がさすと それはもっと眩しくて

僕らは影を重ねた さらに濃い影を

ある時から光の輪がだんだんと縮んで

足場がなくなり

僕はまるい光の外に出た

引き剥がした自分の影とともに

そうしてまた別の光に出会い

また弧が描かれたのだった

そこにはかつてのような闇は訪れず

ただ穏やかな光があった

代わりにあの鮮烈な光は もうなかった

あの時光が縮まなかったら

僕はまだそこにいたんだろうか

それとも 何度分岐を辿っても

ここに行き着くことになったのだろうか

ただ記憶のなかで 時折り僕を照らす君は

いつまでも 美しいのだ


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