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#022 人生を変えた『サキソフォン・コロッサス』

僕が、一番初めにジャズを知ったのが、ソニー・ロリンズの『サキコロ』こと『サキソフォン・コロッサス』だった。大名盤だ。

CDをかける前、少し緊張していた。

ジャズは、テーマメロディがあって、そのあとアドリブがあって、テーマメロディが戻ってくる構成だということは本で知ってた。そして、アドリブが楽しめるかどうかが、ジャズ鑑賞の試金石だと言われていた。

自分にジャズを聴く資格があるのか、才能があるのか、権利があるのか、とやけに気構えていた。

しかし、その不安は、『サキコロ』によって、いとも簡単に吹き飛ばされた。ものすごくわかりやすかった。

一曲目「セント・トーマス」のメロディを「難解」と感じる人はいない。そして、わかりやすくテーマが終わった後に、すこしロリンズは「困る」。同じフレーズを繰り返す。あれ?大丈夫?と数秒間ひやひやとしてくる。

しかし、心配ご無用だ。そのあと、とてつもないメロディの洪水となる。どうしてこんなメロディが出てちゃうの?とポカーンと口を開けながら、ピアノ・ソロとドラム・ソロを聴いて、最初のテーマに戻ってくる。ゴール。

この儀式を経て、僕は、もう立派にジャズファンになったんだと今振り返ると思う。

この経験のあるとないとでは、まったく今後の人生が変わっていたと思う。


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