やめることと続けること

今日も今日とて神社に行ってきた。
2月12日は「初午の日」ということで
稲荷神社で祭りがあるため
①稲荷神社へ行く
②いなり寿司を食べる
以上の「開運アクション」を実行すると
運を拓くことができるらしいからだ。
もちろん実行させていただいた。
きっと幸運が舞い降りるはずだと信じて、震えて眠ることにしたい。

お目当ての神社は阿佐ヶ谷にあった。
阿佐ヶ谷と言えば、僭越ながら大リスクペクトしている
オードリー若林さんと星野源さんが
「くすぶり続けた時代に住んでいた町」として
ファンにはお馴染みの聖地といっていいかもしれない。
2人が共作した曲である「Orange」を聞きながら
もしかしたら2人が踏んだかもしれない道を歩いた。

阿佐ヶ谷 高円寺
夕方 オレンジ
妬み 嫉み 恨み 辛み
こびりつく この道

2000年にコンビ結成したオードリーが
2008年にM-1で準優勝するまでの8年間、
どんな思いで歯を食いしばっていたのか想像しながら。

真夜中 ルサンチマン 叩いて 作った
デロリアン 阿佐ヶ谷 イチ抜けた

2010年にNSCに入り芸人の道を志すも
「イチ抜ける」ことができないまま
ひどくあっさりとやめてしまった自分を考える。
続けられる人は本当にすごい。

ぼくはセンスがなかったので芸人時代すべりまくっていたが
願わくばそもそもすべらない人生でありたかった。
すべる・すべらないの圏外で暮らしていける
一般の方々をうらやましく思ったりもした。
板の上は油断すると精神が落命する戦闘地帯だった。
繰り返しすべった経験がつくった傷跡は
終わりまで消えない気がする。

経験したことがない方には実感が湧かないかもしれないが
すべることほど「否」をつきつけられる体験もなかなか無いと思う。
軽めにすべる経験を義務教育に取り入れてほしいとすら思う。
すべった数だけ人にやさしくなれる気がするからだ。
だからこそ心の底から思う。
「続けられる人は本当にすごい」

ものすごく強烈に不適切な連想をしてみる。
色々あって自らの意志で人生そのものを
やめてしまう人がいる。
そんな人は人生を続けている人に対し
「続けられる人はすごいな」
と思うだろうか。(天国から)

あるいは。
「(あきれた声で)まだ続けてるよ」
と思うだろうか。

ぼくはあっさりと芸人を廃業したくせに
Youtubeという表現者まがいの活動をしているから
「(あきれた声で)まだやめてないよこの人」と
自分で自分に思っている。

そうなのだ。
「続ける」ではなくていつの間にか
「やめない」に意識がシフトしていることに気づく。
全く同じことのようでいて
異なる態度だと思っている。

そうなのだ。
青山真司監督の『ユリイカ』でも
役所広司さん演じる沢井がこう言っていたではないか。

生きろとは言わん。
死なんでくれ。

続けようなんて思わない。
まだやめてないだけ。

阿佐ヶ谷 高円寺
朝方 オレンジ
妬み 嫉み 恨み 辛み
塗り替える この道


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