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あなたはどんな主人公ですか?

私たちの人生が一つの物語だとしたら、あなたは自分をどんな主人公だと言いますか?

私という主人公は、昔から何をやっても最初から上手にできるタイプではなかった。やる気は人一倍あるのに、だ。

算数の道のり・速さ・時間をもとめる計算。小学校で習うリコーダー。中学の部活のバスケットボール。初めての居酒屋のバイト。原付バイクの運転。大学で始めた英語。就職活動。社会人一社目の商社でのバイヤーの仕事。ミッション車の運転。

あぁ、どんくさい思い出しか浮かばない。。。

でも、そのほとんどを克服してきた。

そう。何をやっても割とどんくさかった私は幸いにも、転んでも転んでも”くっそーぅ!”と這い上がってくる不屈の精神社交性なるものを兼ね備えていたからだ。

どんくさく失敗する度に、”なんでみんなと同じようにできないんだろう”と一瞬深く落ち込む。
でもその3秒後には笑いのネタにしてしまい、周りの人に面白おかしく語りながら「次はこうやってみようと思うんですけど、どう思いますか?」といろんな人と会話を楽しむ。

「あんたねぇ。そりゃここが間違ってちゃ、一生懸命やったって上手くならないよ。私の場合は、こうしたよ。例えばね・・・」

多くの人が自身の経験を話してくれた。
その時どんなことを思ったのかとか、なんでそうしたのかとかを聞くのが大好きな私は、自分の失敗話から会話を始めては、いつも最終的には話し相手のストーリーを聞くのを楽しんでいた。

そうしていると、ありがたいことに多くの人がお土産といわんばかりにどんくさい私にアドバイスや情報をくれた。
それをヒントに再トライしては克服してきたのだ。

初めての就職活動
ファーストステップと呼ばれる自己分析で、自分とは何者なのかと考え込んでしまい←、いつまでたってもエントリーシートが通らない日々。

“あぁ、もう私なんて”と思った直後、カナダ留学で出会ったサバサバした年上の友達の事を思い出し、久しぶりに電話をかけてみた。

「そんなもん、自分が何者かなんて30代になったってわかんないよ。とりあえずみんなと同じ事してたらダメなんじゃない?社長宛に直接手紙と履歴書送ったとか言ってた人もいるよ。社長に手紙書けるくらい良いなと思う商品とかブランドとかなんかないの?」

カナダ留学でオーガニックの浸透率に感銘を受けた私は、日本でもオーガニックの化粧品や食品に関わる仕事がしたかった。ただまだ国内でオーガニックという単語があまり聞き慣れなかった当時、メジャーな就職サイトに掲載など無く、早々に選択肢から外していた。
カナダの姉貴の一言で覚醒した私は、うっしゃー!と街のオーガニックショップに乗り込んでは、良いなと思う商品のラベルを見ては社名をメモし、募集がなくても履歴書を送った。

するとこれまでエントリーシートで砕け散っていた私に、3社から最終面接の案内が来た。
その中からオーガニック専門の食品商社に内定をもらい、なんとか卒業旅行ができる日数を残して就職活動を終えた。

社会人一社目の商社でのバイヤーの仕事
カナダ留学で友達を作る英語は習得したけど、ビジネスでの立ち回り方なんてもちろん習っていない。

ことごとく言わないといけないことをはっきり言えず、フレンドリーにやりとりしていたら文字通りフレンドになってしまい、仕入先との交渉はことごとく苦戦。
“あぁ、完全に社内で仕事できないキャラを確立しつつある。もはや何からどうしたら良いやら。”

配属された輸入部内で少数派の残業組になっていた時、いつもご飯に誘ってくれたのは、輸出部の先輩たちだった。

「ガハハ!心配すんな!飲みにでも行くか!」


いつものように居酒屋に誘ってもらったある時気づいた。そう、輸出部の彼らは私とまさに正反対の立場にいて、仕入先として私のようなバイヤー相手に日々やり取りしている。格好のアドバイザーではないか!

先輩の武勇伝や失敗談を爆笑しながらたっぷり聞いた後、自分が苦戦している内容と、私の交渉の打診内容を聞いてもらった。

「あんた。その段階でそれ言っちゃったらあかんでしょ。あとその英語の表現はちょっとわかりにくいな。例えばさ・・・」

と、先輩の交渉のメールのやりとりを見せてもらったり、仕入れ先として交渉時に重視するポイントなど教えてもらった。

早速、定時後の居酒屋で得た知恵を、仕入れ先とのやりとりに取り入れていくと、少しずつながらも交渉ができるようになってきた。
退職する最後の年には、過去最高額のマーケティング支援金を仕入れ先からゲットして、ヒット商品を生み出せた。

ミッション車の運転
商社退職後、オートマ車の方が少ない国、スペインへの渡航に向けて教習に通い始めた。
試験のやり直しをできる上限を超えて、一回失敗するごとに5千円課金が必要という窮地に追い込まれた私。途方に暮れた3秒後に浮かんだのは、軽トラに毎日乗って農家をしている知り合いのおじさんだった。

久しぶりに電話をかけていきさつを話すと、こう言ってくれた。

「あんた。そんなに試験に落ちる奴がおるか!?週末でよかったら教えたるから来なさいな」

毎週おっちゃんの畑の周りをエンストしながら猛特訓し、一ヶ月半後になんとか免許取得に漕ぎ着けた。

練習中に畑を眺めながら聞くおっちゃんの話の楽しかったこと。
今ではここスペインでミッション車を、日本とは反対車線というもう一難ある中でも、なんとか運転している。


何をやっても最初は失敗ばかりだが、
転んでも転んでも”くっそーぅ!”と這い上がってくる不屈の精神と、
持ち前の社交性で困難を乗り越えていく。

きっと私はそんな主人公だ。

“なんでみんなと同じようにできないのだろう”と落ち込むことはあるけど、こんな私、嫌いじゃないなと思える33歳の春。

つづく

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このnoteではスペインでのへっぽこ山奥生活を通して、
以下のようなお題について書いてみようと思います。

・Self care 自分の取扱説明書を持つことについて
・Bloom your potential 得意を活かすこと、自分の可能性の伸ばし方
・ Food and farm 私の生活を豊かにしてくれる食べ物や畑のこと
・Japan and the world 違う考え方、言語、人、食べ物を知るって楽しい。日本と海外それぞれから学ぶこと
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