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ローコストで農業を始める9つのステップ/Moreno

今回はフランスの農家であるモレノさんが考える農業をローコストで始める方法を見ていきたいと思います。

まず農業がどのようなステップで収入を得るのか見ていきましょう。

1.Prepare your land
2.Grow seedlings
3.Direct seed &transplant crop
4.irrigate your crops
5.Weed management
6.Pest & disease management
7.Harvest crops
8.Wash ,pack & store crops
9.Transport & sell your crops

英語ではこのように表記されてされていますが、日本語だとこのようになるかと思われます。

1.圃場準備
2.育苗
3.直播き、移植
4.水やり
5.雑草対策
6.病害虫管理
7.収穫
8.洗浄・選別、袋詰め、保存
9.輸送、販売

1.圃場準備

ではまず1番の圃場準備についてみていきましょう。これは以前も紹介したこの記事が参考になるかと思われます。

このステップで必要な道具は
・堆肥
・一輪車
・シャベル
・フォーク
・スコップ
・ペグ
・ロープ
・メジャー

最初の土地づくりにあると便利なものとして
・トラクター
・管理機
・レンタル出来るトラクター
・サイレージタープ

です。

個人的に最初の耕耘はトラクターが断然おススメです。管理機は圃場によってはまったく耕すことが出来ませんし、かなり時間がかかります。あとレベルも大事なのでユンボも個人的にはあればかなり役に立つと思います。

堆肥の質も注意してください。動物性や植物性に限らず匂いのきついものや比重の重いものは取り扱いにくいだけでなく、作物にも影響が出てきます。

こちらの記事も参考になると思いますので興味あれば読んでみてください。

2.育苗

まず育苗で基本的にそろえておく必要があるのが
・セルトレイ
・ポット
・潅水設備(育苗用のシャワーヘッドなど)
・質の高い育苗培土

です。
以前も紹介した健康な苗を作る方法について紹介します。

①適切な衛生状態

 すべての作業で使う道具一式(育苗に使うセルトレイ、苗箱、ポットなど、以前に使用したコンテナ)をすべて清掃します。育苗に使う材料や道具は地面から離し、使用しないときは清潔な場所に保管してください。

②培土は専用のものを選択する

 理想的な培土は、適度な排水性と適度な肥料分を含んでいて、植物の根にとって居心地のよい培土に設計されています。対照的に、通常の培養土または庭や畑の土壌は比重が重すぎる可能性があり、庭の土壌および再利用された培養土は、病害虫や雑草の種を含んでいる可能性があります。
 育苗用に配合された培土は一般に、比重を軽くし保湿と通気を改善する繊維状または多孔性の鉱物や有機物を組み合わせて出来ています。
代表的な資材はパーライト(熱処理された火山鉱物。小さな発泡スチロールの球に似ています)、バーミキュライト(熱処理された別の天然鉱物)、ピートモスやココナッツの繊維で出来たハスクチップ等です。

③浅い苗箱を準備

 育苗を始める時に苗箱に排水穴があることを確認してください。深いものは避けてください。ただし、根が大きくなる作物(たとえば、ウリ科)の場合は、畑に移植するときまで、移植する時の植物にとって十分な大きさのセルまたは鉢のサイズを選択してください。

 また可能ならばプラスチック製のトレイの代わりに、生分解性の鉢やソイルブロックに播種してみてください。ソイルブロックは、移植の際にセルトレイから根っこが外れるときに根を傷付けてしまう事を防ぎ、移植時のショックのリスクを減らすのに役立ちます。


④播種する前に、培土を適度に湿らせる

 乾燥した培土に注意してください。培土に十分な水を加えて、セルトレイの底から水がしたたるくらいに調整します。(発芽時に水分が多すぎると、発芽前に種子が腐敗する可能性があります。)

⑤作物毎にセルトレイの大きさを調節

あまりにも密に播種された種子は、病気のリスクが高くなります。

⑥作物毎の覆土量を調節

 種子と培土の接触点は発芽にとって重要です。作物の特性に合わせてに種子を覆土する少量の育苗培土を使用するか、微細な種子にはバーミキュライトを軽く振りかけます。ただし、一部の種子は発芽するために光が必要な場合があるので注意してください。重要な成長の指示に注意深く従ってください。発芽を妨げる可能性があるため、推奨よりも深く種子を植えないように注意してください。

⑦穏やかに灌水する

種子を洗い流さないように注意してください。種子を常に湿らせておくことが重要ですが、発芽期間中は培土が過湿にならないようにしてください。手灌水またはスミサンスイで穏やかに水をまきます。小さな種子の場合、ミストが最適です。または、各トレイを底に穴の無い苗箱を使う選択肢もあります。ぬるま湯(68°–77°F / 20°–25°C)を使用してください。育苗中に希釈せずに濃い肥料を散布したり与えたりすると肥焼けを起こす可能性があるので避けてください。特に苗の時は敏感なので控えましょう。ですが適正な希釈された倍率の資材を散布する事はむしろ大事になります。

⑧トレイで覆う

 育苗中に温度を上げたい時はドーム型のプラスチック、透明なプラスチックまたはガラスのシート、プラスチック製のラップ、または逆さにしたトレイを使用してください。これは、一定の湿気を維持し、暖かさと湿度を維持するのに役立ちます。日当たりの良い暖かい条件では、カバーを換気してください。そうしないと、温度が高くなりすぎて発芽が阻害される可能性があります。種子が発芽したらすぐにカバーを外します。

⑨発芽に最適な土壌温度を維持します

 作物毎の推奨されている栽培手順を確認し、必要に応じて温度を上下に調整します。また必要な時はヒートマットを使用して土壌温度を上げます。土壌温度計を使用して温度をモニタリングする事もできます。通常、発芽に推奨される温度は苗が必要とする温度よりも高くなります。苗が活着したら、推奨される温度よりも温度を下げます。昼間の高温と夜間の低温を交互にするための推奨事項もあるかもしれません。

⑩最初は軽く施肥し、必要な場合にのみ施肥します

 一部の育苗培土には、最初の数週間苗を維持するのに十分な肥料分が含まれています。たとえば、ジョニーシードカンパニーの512ミックスには、移植段階まで多くの苗木を維持するのに十分が肥料分が含まれています。対照的に、肥料の少ない育苗培土を使用する場合は、発芽して最初の本葉が発達したら、施肥を開始します。若い苗をに施肥する時は、製品ラベルの指示に従って適切に希釈されたな肥料養液を使用してください。

⑪屋内で育苗管理をしている場合は、補助照明を提供します

窓の明かりだけでは不十分です。

⑫鉢上げ

 鉢上げは畑に定植する前に苗をより大きなセルトレイやポットに移動させる事です。
これを行う理由はいくつかあります。

第一 さらなる苗の根の発達の為
第二 充分な肥料を含んだポットに移し替える(より大きな植物はより多くの栄養素を必要とし、最初の培土で利用可能な肥料分を消費している可能性があります)。
第三 弱い苗を選別する

 一般的に4枚の本葉を確認したら、茎ではなく葉をつかんで元の容器からそれらを取り出します。根を傷つけないように注意してください。ウィジャー(トレイから苗を剥がす道具)を使用して、苗木をセルトレイから優しく剥がしていき、より大きな容器に移し替えます。苗を土の線より少し深く、大きな容器に入れます。培土を茎の周りにそっと押して、ぬるま湯で苗に水を入れて完了です。

3.直播き、移植

直播・移植する時に畝をきれいにしておく必要があります。その時に必要になってくる道具をまとめました。
・三角ホ―や除草の道具
・レーキ
・ブロードフォーク(日本だと土起こし君)
あれば便利なのが
・草刈り機(ヒモ)・・・細かくカットできます
・ティルサー
・サイレージタープ

こちらの動画も参考になります。

畝の準備が整ったら定植するポイントが分かりやすいようにすると作業がスムーズです。便利な道具をピックアップしました。

こうゆう道具は海外が強いですね。シンプルだけどかなり作業の効率もあがります。

4.水やり(潅水設備)

潅水設備は路地の場合日本だと必要ない場合も出てきますが、ハウスでは必須なのでいくつか紹介したいと思います。

・点滴チューブ
点滴チューブとは、チューブにあいた点滴孔からポタポタと水滴をだすことによって潅水する潅水チューブです。少量ずつ、均一に水やりができることが点滴チューブを使う最大のメリットです。

また点滴チューブは植物を直接濡らすことが無く、ハウス内で用いる際には室内が過湿になりづらい特徴があります。また土壌を固くしたり、水みちを作ることも少なく、土中の空気層を維持しやすい特徴もあります。


・スプリンクラー

スプリンクラーとは、水に高圧をかけ飛沫にしてノズルから散布する装置です。一般的には屋外では地面に直接設置する製品も多いですが、農地では作物の高さを考慮し、立ち上がりライザー管を用いた製品があります。

ハウス内では頭上に設置した散水用の塩ビ配管やポリエチレンパイプに専用のアダプターやチーズを取り付け、吊り下げて使用する製品が多くあります。

・スミサンスイ


点滴潅水とスプリンクラータイプの潅水設備がよく海外では使われているように思います。

点滴潅水は効率的に潅水できるので、雨の少ない地域でよく使われています。レタス4条以上に野菜を育てる場合はスプリンクラーを使っています。野菜に合わせて組み合わせて使う事をお勧めします。

5.雑草対策

まず雑草対策はこれまでにも記事にしてきましたので、そちらを参考に見てください。

雑草対策としては雑草が生育する前にどれだけ対策しているかが重要になります。

6.病害虫管理

どの地域においても病害虫は発生します。有効な対策として地元の農家さんに対策を聞いてみましょう。気候や風土によって害虫の種類も変わってくるので参考になります。

そして病害虫対策を生物性と物理性と化学性に分けて考えると分かりやすいかと思います。

まず有機で栽培する利点としては生物の多様性を作ることでバランスを保ち特定の虫に食われる事を防ぐことにあります。以前も紹介した昆虫と共生する環境づくりについて書いていますので興味ある方は読んでみてください。

物理的に防ぐ方法としては防虫ネットを張ったりハウスの中で育てる事で可能になります。フェロモントラップなどその中に入るでしょう。

化学性に関しては、そもそもの野菜自体を健康にすることで細胞がしまった虫の攻撃を受けにくい体つくりを土壌つくりを通して行う方法です。

土壌診断を行ってその診断結果と作物を観察しながら、健康な野菜作りをしていく事で病害虫は防ぐことが出来ます。

この一つだけを集中して行うよりもこの3点を意識した病害虫対策をしていってください。


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