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『スロウハイツの神様』が生きるための強さを教えてくれた
こんばんは。
金曜ロードショーの「ヴァイオレットエヴァーガーデン」を見て大号泣し、
Noteの投稿を完全に忘れていたいたばしです。
ごめんなさい。
本当にあのアニメには百発百中で泣かされます。
来週の外伝も楽しみですね!
さて、今回のテーマは「人生観を変えた小説」です。
これまでの私の人生、小説に支えられていたと言っても過言ではありません。
その中でも、確実に自分の人生の指針となった小説の話をしたいと思います。
『スロウハイツの神様』
辻村美月著『スロウハイツの神様』。
今作はアパート「スロウハイツ」に住む脚本家・赤羽環とコーキ、そして友人たち計6人が物語を織り成しています。友人は画家志望、漫画家志望、映画監督志望など、いずれも持っているのはクリエイターへの夢。
群像劇の要素も強い中、後半で怒涛の伏線回収をするミステリーの要素も持ち合わせている。小さな謎が連なり、大きな秘密が明かされる、畳みかけの構造の美しさ。辻村美月さんの初期作の魅力が存分に詰まった作品です。
(この作品は、私の大好きな劇団『キャラメルボックス』で舞台化もされています。今年12月復帰公演、楽しみですね、!)
中二の私は、強くなりたかった
この小説に出会った中学2年生の私は、ひどく傷つきやすい性格でした。
これまでのエッセイにも書いている家族のコンプレックス、
それに伴って言われる噂や陰口に対して、いちいち気を病んでいました
女子の輪の中に入ることも苦手、そしてどうにも居場所の確保が苦手
「小さいことを気にしすぎている」「考えすぎなんじゃないか」
こんなことは、小学生の時から何度も言われていました
なんでこんなに自分はうじうじしているのか
過去ばっかり振り返って前を向けない
そんな自分が嫌いでした。
いつでも前を向けるような強さがほしい
でも誰も傷つけない優しさがほしい
私のヒーロー
そんな時、私はこの小説の主人公・赤羽環に出会います
壮絶な過去を背負い、もがきながらも大好きな作家のチヨダ・コーキを支えに、強く生き続けてきた環。
環の過去からしたら全然苦労はしていないけど、私はそこに自分を重ね合わせて読んでいました。
環は人前で涙を見せない、そして怒りという感情を持っています
「涙を流すことを嫌う。涙と言うのは、容易く売り物になってしまうから」
「環はスティグマを持っている。思い出せばいつでも血を流すことができる怒りの感情、相手を許さないという決意」
ただ、みんなに強く思われる環の心はそんなに強いわけではない
「環はきっと、そこまで強いわけではないんです」
壮絶な過去を背負い、大切な人たちとの別れに直面し
人知れず多くの傷を受けながら、涙を流さず懸命に生きてきた環。
自分の人生を支えてくれた作家への思いから、脚本家を目指します
「私は、彼に追いつきたい」
「オスカーを手にしながら言おう。『私はチヨダ・コーキの作品を読んで、それを支えに生きてきました』」
そしてこの作品は、人は強さと優しさを両方持ち合わせていることも教えてくれました
「人間は優しさか強さか、そのどちらかをもっていなければ生きていくことなどできず、たいていはそのどちらか片方だけに目が行きがちだが、人は意外とその両方を持ち合わせている」
「人を傷つけず、闇も覗き込まずに、相手を感動させ、心を揺さぶることはできる」
登場するキャラクターはみんな愛おしいです。
でも何より、やけどするほどの熱い強さと、優しさをもって生きていく環。
どうしても立ち直れない悲しさや
怒りや絶望感に直面した時もありました。
でもそんな時、
「こんな時、環だったらどう思うだろうか、どうやって行動するだろうか」
いつもそう自問自答できたから前を向けた
「とりあえずがむしゃらに、目指すところまで努力するしかない」
中学生の時になりたかった自分に、どれだけ近づけているかわかりません。
ただ、私の中で生きる環との対話が、私を強くしてくれたと思います
なんか思いが先走りすぎてうまく書けませんでしたが、
こんな拙文では書き切れないほど、本当に感謝をしています
物語の力
ある本で、新聞記者の方がこのようにおっしゃっていました
「たった一回しかない人生を、私たちはどう生きるべきか。
そのヒントが書籍には無数に書き記されています。」
「それらの物語を読み終えたときに、書籍は他人に生きることの『豊かさ』を気づかせてくれる。この『ろくでもない世界』を生き抜く知恵と勇気を与えてくれる」
私は『スロウハイツの神様』以降もたくさんの作品と出会いました。
寂しい時、誰にも自分の話をできない時、
本を開けばいつでもそこに物語がいてくれる
そして、生きる指針を教えてくれました
たくさんの物語に支えられて、私はこれまで生きてきました
もちろん、これからも
前述した新聞記者の方はこのように文を締めています。
「皆さんと再びどこかでお会いできることを、心から楽しみにしております。
そのときにはぜひ、SNSの話ではなく、書籍の話をしたいと思っています。」
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