どこへいっても

彼はどこへいってもチャーミングな客人だった
そろそろ毛布が恋しくなってきた

彼はどこへ旅立つかしら?
今夜はどこで眠るのかしら?
沢山のドアと人々の間を通り抜け
彼はどこまでも進んでいく

終わりは
世界のどこにもないように思われた

一つの場所で何かに取り組んでいる時
また別の場所で新しい何かが生まれる
遠くのどこかで
何かが朽ちて消えていく

そうして終わりのない終わりが
延々と続く

彼は風の招きに
てくてくとついて行く

私は静かな部屋で一人
時折、あなたが語ってくれる出来事や
日焼けした肌
隆起した筋肉
帽子が吸い込んできた匂いを思い出し
あなたがどこにいて何をしているか
想像してみる

一緒にいかなくとも分かる
全てを聞かなくとも分かる

微熱を残した肌
砂っぽくなった髪やリュック
汗でひんやりとした首筋

帰ってきたあなたに抱きついた時
全てを感じることができる

私は静かな部屋で一人、
想像している
次会った時に、感じ取れるように


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