リュックで雨を集める人

ある雨の日、
友人と駅で待ち合わせし
ランチを食べに向かった

傘があおられる予想以上の雨風に
ギャアギャア言いながら

「こんな雨の日じゃなくても良かったね！」

と急ぎ足でお店を目指す

大通りを抜け人気の無い路地に差し掛かったとき

前方の曲がり角から
リュックを背負ったおじさんが
同じ路地に合流してきた

チャックを閉め忘れたようで
リュックの外側がベローンと垂れている

雨を集めてるくらい全開だった

(うわ….かわいそうに.…)

「ちょ　行ってくるわ」
その瞬間、友人が駆け出す

20mほど先のおじさんに近づき
リュックが全開であることを伝えている
おじさんは友人に何度もぺこぺこしながら
リュックの水滴を払っている

あっという間の出来事だったけど
その場面に彼女の魅力が詰まっていた
困ってる人に躊躇なくガンガン行く
おじさんとの距離が遠かろうが近かろうが
視界に入ったら助けに行くのだ

「ビッチョビチョだったわリュック」

と自らも雨に打たれて帰ってくる彼女

その友人とその旦那の出会いは職場で
旦那が風邪を引いてるときに
大量にお菓子の梅干しをあげたことが
きっかけとのこと

うんうんわかる　あげそう
半分押し付け気味にあげそう

最高な友人とランチへ行けることが誇らしかった