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自作小説、ヒステリック・ヒストリーを語る

私の処女作にして一応代表作です。
ジャンルは歴史改変SF。歴史やSF興味ない人でも楽しめるように書きました。

あらすじ

訳あり男子高校生、鳥居のもとに記憶を失った謎の少女ヒスイとダイヤルが現れる。
ダイヤルの正体はタイムマシンだった。
──このダイヤルは歴史に作用する劇薬だ。歴史を変えないでくれ。
脳内でそう警告が流れるも鳥居達は石井という謎の男に脅されたことでやむを得ずダイヤルを回して過去の世界へ飛んでしまう。
多くの出会いと別れ、挫折、絶望の果てに鳥居が辿り着く先は……? 

Prologue

 ──2062年
 
 モニターのバックライトのみが広大な室内を照らす、天井はどこまでも高いが薄暗く陰鬱とした研究所。そこにあるのは夥しい数のコンピューター。
 ──そして培養液に浸かった少女と少女を包むカプセルから伸びたケーブルに繋がれているダイヤルのような装置。
 それに壁を埋め尽くさんとする無数のモニターに……それと向き合う1人の男。
 男は血走った目でなにやらタイピングをしている。まるで取り憑かれたかのように。
 彼は世界を殺した。ただ一つの目的のために。
 
 そう、殺した……
 突如自分が招いた地獄ディストピアの光景がフラッシュバックし、男は動悸に襲われ胸を押さえる。
 
「違う! 私は蘇らせたかっただけだ! 決してこんな世界など望んでいなかった!」
 
 男はモニターから背を背け、叫び続けると息を切らし、錠剤をポケットから取り出すと震える手でそれを飲む。
そして呼吸が落ち着いた頃、またモニターに向き合う。
 男の中には罪悪感と使命感があった。
 
「出来た……これで世界は救われるはずだ……!」
 
 男はタイピングしていた手を止め、エンターキーを押す。
 するとコンピュータは演算処理を一斉に開始してモニターの画面に次々と文字が表示される。

『Historical Intellect Science Unlimited Integration』 Install ... 30% ... 60 % ... 99.9% ...
(歴史的知性科学の無制限の統合……インストール……30%……60%……99.9%……)

Transmigration running ... checking error ... 1 fatal error.
Do you want to run process really?

(転生中に1件の重大なエラーが見つかりました。本当に実行しますか?)

「くそっ、ここにきてエラーか!」

 男はエラーの原因を瞬時に特定した。これさえ直せば〝ダイヤル〟は完璧に機能する。
 しかし突如カツ、カツ、と背後で響く足音。

「!? ついに来たか……まだエラーがあるというのに……!」

 それが死神の来訪であることを悟った男はやむを得ず短いメッセージとショート・パスコードを送信するとエンターキーを再度押す。

 Ok. transmigration is running ... Abnormal situation woning! worning! worning!
 (了解しました。転生可動……異常事態発生!)

「くそ、早くしろ!」

 男は叩きつけるかのようにエンターキーを押す。

 complete. 1 fatal error,some warning depicted. exit.
(完了。1件の致命的なエラーの他に複数の警告が検出されました。)

 足音の主はすぐ背後まで迫っていた。死神は銃口を男に向ける。

「探したぞ。楽には死なせん……」

 弾丸に恨みを込めたかのように死神は発砲し男は急所を避けるように銃弾を6発浴びる。

「そのまま失血死するまで苦痛に耐えろ。それがお前に出来るせめてもの贖いだ」

 苦痛にのたうちながら男に浮かぶのは懸念であった。
 1件の致命的なエラー……これがもし男の考える物だとしたら……
 しかし詮無いことであった。すまない、あとは彼女に頼む、歴史を。
 ──世界を。

 カチリッ

制作秘話

この作品は、小説をろくに書いた事の無い私が、ある人の作品の感想を言ったら、一緒に書かないか誘われて書いた物です。

制作には1年かかりましたが、この1年はプレッシャーやスランプに悩まされました。

prologueを一番最初にかいたのですが、これは好評でその後リメイクしたときもあまり変えてません。

このprologueを書いた後次の話を書いたら全く情景が浮かばないとか意味不明とか酷評され、逃げたくなりした。

しかし、とにかく小説、それもSFと言うことでSTEINS;GATEを参考にしました。

そこでA世界とB世界があって、これを交互に行き交う展開にさせようと決めました。

それでタイムマシンを登場させようと。

一緒に書かないか誘った方がディストピアが好きなのて作品にはディストピア要素も盛り込みました。

主人公とヒロインの名前はヒストリーだからヒスイ、鳥居でいいか、と安直に決めました。

この小説を書くために歴史本を大量に読みました。特に参考になったのはイエスの生涯とコンスタンティノープルの陥落。

この2冊は物語に大きく影響を与えました。

作中では古代ローマ、中世ヨーロッパ、ビザンツ帝国、フランス革命ととぶのですが、古代ローマとフランス革命以外は何にしようか悩んでました。

主人公の行動がバタフライエフェクトを起こし歴史が変わりディストピアになるという展開にしたかったからです。

結果ヨーロッパ中心になってしまいましたが中国やアラブ世界も出したかったですね…

ヒステリック・ヒストリーというタイトルも適当に考えたのですが、既にそういうタイトルの本があると後で知ってショックでした。

作品になにかテーマを持たせるとしたら『助け合い』、『人間の力強さ』です。

完成、そして…

そして完成した作品を見ていただきましたが歴史の二次創作、歴史が舞台装置と化してる、テンポ速すぎるとかなり酷評されました。

そして完成させてから現在に至るまで改良中です。

完成した後公開するか迷ったのですが、結局公開しました。

SFジャンルと歴史ジャンルどちらにしようか迷いました。

歴史ジャンルだと詳しい人に突っ込まれそうなのでSFジャンルにしました。

そしてたまにSFジャンルランキング1位になったりと、意外と好評です。

とにかくこの作品を作ることは大きな経験でした。

イエスとかイスラム教とか出てくるので書籍化はあり得ませんが一人でも読者が増えたら嬉しいです。

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