師走到来と伊藤丈『仏教漢文入門』

 師走です。
 「一年が早い」と相も変わらぬ繰り言を言うようになってもう何年が経つことでしょう。もはやこれ込みで年中行事です。

 そんなわけで、しばらくは「今年勉強するつもりだったのに全然進まなかった本」「中途半端なままほっぽっている本」などを公開して恥のかき納めをしたいと思います。
 弱き者、汝の名は門賀なり。

 この本なんてもう、一年といわず何年単位で進んでいないやら。
 一応ぺらぺらめくっては読むんだけど、演習とかまともにやったことはありません。
 それでも、わかりやすい本であることには間違いないのでございまして、お経を自分で読んでいきたいと考える向きにはうってつけの入門書であります。
 そして、それ以上に、解説を読むと漢訳者たちの苦労や心意気が偲ばれまして。他の漢文には類例のない特殊な構文を使っていたり、音読を前提にした工夫がなされていたり、お経を読むだけではわからない、中国仏教成立史の息吹が感じられるのも本書の楽しいところなのです。
 普通の中国文とは全然違う構文に、古の留学僧たちも大いに戸惑ったろうなあ、などと。読み物としてもおもしろいので、臘八の読書などにいかがでしょうか。

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