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なんちゃっていねい生活 都会に近い田舎に住もう

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関東の小都市・神奈川県横須賀市在住の文筆家が、なんちゃってな「ていねい生活」の日々を綴ります。スキやシェアしてもらうと面白いことがあるかも!
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#ガーデニング

水無月廿五日 紫陽花

 庭の紫陽花もそろそろ終盤に向かい始めています。  終わりかけの花を摘んで、伸び過ぎの枝は剪定して。  およそひと月の花期は他の花に比べると長いけど、一年のうちたったそれだけと思うとやはり短いですね。  あともう少し、がんばってもらいましょう。

皐月廿四日 どくだみ仕事

 初夏の恒例行事、どくだみ仕事の日です。  越してきたての頃は庭にはびこるどくだみの臭いに胸が悪くなり、憎々しいことこの上なし、と思っていたものですが今では和解できました。  どくだみと和解せよ。  和解のきっかけは、試しに作ってみたどくだみチンキの芳しさでした。あの生臭さはどこにいったのやら、ディヒューザーに入れて部屋に置けば空気を浄化するような爽やかな香りを楽しむことができます。  また、花だけで作るチンキは化粧水の香り付けにぴったり。風呂上がりの応急処置用化粧水は、みん

皐月廿二日 タイムの花

 ハーブガーデンを作る際の目標は「お料理に使う基礎的なハーブは全部揃える」でした。  よって、タイム、ローズマリー、セージの三大ハーブを植えたわけですが、うちタイムだけがどうも生育が芳しくなく、うまく茂るか少々心配していました。  だが、やはりハーブは強かった。  春になると順調に葉が大きくなりはじめ、無事花を咲かせるほど育ってくれました。やれやれ、です。  それにしてもタイムの花は愛らしいですね。こういう花弁の小さな花、大好きなんですよ。花を鑑賞できるのもまた楽しみのひとつ

皐月廿一日 花の気持ちがわからない

 庭には複数の花樹があります。  春から初夏の主役は躑躅でして、今年は四月中旬に赤系の花を咲かせる株が順調に開花したのですけど、去年思いっきり咲き狂った白の株はさっぱり。とうとう蕾すらつけませんでした。  そして、赤は今頃になって返り咲き。  しかも、一輪だけ。  ほんともう、彼等の気持ちがわからない。  古代中国人は年年歳歳花相似たりと詠みましたが、とんでもない。  年年歳歳花同じからず、です。  表作/裏作なんて言葉もありますが、年によって全然花の付き方、ひいては庭の表情

皐月十九日 朝飯前の種まき

 暑くなる前にちゃんと宿題やりなさい! が、五十路にして初めてできるようになりました。  ええ、今年はちゃんと予定通り種まきをしちゃったんですよ。  しかも朝飯前に。つまり起きてすぐに庭仕事。すごい。  今回蒔いたのはバジルと朝顔と昼顔。二日前にはディルと青じそ、赤じそが完了しております。  なぜ日を分けたかというと、多動の哀しさでタスクを一度に全部終わらせることが難しいからでして、最近はもう開き直って、仕事に関係ないことは自分のペースでやりたい時にやりたいようにやっています

皐月十八日 ミントの生命力

 昨年は我が家のハーブ生活元年だったわけですが、初年度はやはり失敗も多うございました。なにせ、ミントを枯らすという、普通は絶対ない大技をやってのけたのですから。  ミントは二種類、スペアミントとモヒートミントの苗を用意して鉢植えにしたところ、双方見事に枯れちゃったんです。がっかりですよ。我が指の緑ならざることを呪いました。  ところが、です。  失意のあまり、鉢を片付けることもなく一冬放置していたところ、春になってびっくり。なんとモヒートミントに新芽が出始めたではありませんか

皐月十七日 薔薇が咲いた

 梅雨の走りのようなしとしと雨の中、パセリを採ろうと庭に出たら超サブライズが。  寂しくもないけどごちゃごちゃな僕の庭に薔薇が咲いた。真っ赤じゃなくてピンクだけど。  いや、ちょっと待て。君はいつから生えていたのだ。少なくともこの五年間、一度も咲かなかったよね?  この驚き、どう喩えればいいでしょう。  たとえば、全員知っているはずのクラスメイトに突然美少女が紛れ込んでいた感じ? 「え、あなた誰? ていうか、いた?」みたいな。  おそらく、去年この薔薇が生えている場所にあった

皐月十六日 庭の花

 うちには狭小ながらそこそこの種類が植えてある(もしくは自生している)庭がありまして、それなりに四季折々の顔を見せてくれます。  早春はボケぐらいしかないものの、中春になると花桃、ユキヤナギ、コデマリといった樹花に始まり、やがて母子草、ハルジオン、ヒメジオン、ペラペラヨメナ、マツバウンランなどの雑草花がやりたい放題に咲き誇り、ちょっとした野生の花園の顔を見せてくれるわけです。これはこれで結構好きなので、あえて抜かずに生やしていたり。  それに加え、今年からはハーブの花も楽しめ

如月十一日 中島敦と雑草

 今朝まで続いた氷雨のせいか、庭の草たちもいかにも寒そう。地面にぺったりくっつく春待ちの態勢でしのいでいます。と、まあ、今はまだ愛でる余裕もありますが、夏前にはまた彼らとの戦いが始まりますね。  さて、誠文堂新光社のWEBマガジン「よみもの.com」で連載中の「もっと文豪の死に様」中島敦篇の第三回がアップされました。中島敦に関しては今回が最終回です。  代表作「山月記」の作風ゆえか、なぜか暗い人っぽいイメージがある中島敦ですが、実はコミュニケーション能力に長けた陽性の人た

如月六日 強き者の名はミントと大介

 この寒さですっかり枯れたと思っていたモヒートミント、さっき見たら新芽が出てきていました。さすがは“雑草”。強い……。もう少し暖かくなったら、きちんと植え替えようと思います。大きめサイズのプランターを用意しないと。  さて、週に一度の買い出しで近所の衣笠商店街に行くと商店街内のガレリア会館1階(「横須賀コロッケ」のお隣)で三浦一族に関するパネル展示が開催されていました。  なにを隠そう、横須賀市は中世に世に出て源頼朝を支えた有力武士団・三浦党の本拠地。つまり、今年の大河ドラ

如月五日 鰯大根

 節分から二日経ちましたが、我が家の食卓にはまだ鰯が。  一盛り八尾だったので三日から食べ続けです。でも美味しいから飽きない。「鰯に不味いものなし」は本当ですね。  鬼除けは鰯に柊ですが、食卓では鰯に大根。独特の臭みやワタの苦みも和らげてくれます。  蕗の薹が芽生え始めました。四日ほど前に出た初物は天麩羅にして美味しくいただきましたので、二つ目のこの子は放置して伸ばす予定です。  日中わずかばかり雪がちらつく時間帯もありましたが、植物の世界は着々と春に向かっています。  

如月四日 立春大吉

 早春賦の歌詞そのままの朝ですが、それでも今日からは春。  今年は寒の入りからの冷え込みが例年になく厳しいせいか、暦の上だけでも季節が移ったと思うと、少しほっとします。  花が乏しいこの時期の庭を清らかな姿と馥郁たる甘い香りで彩ってくれていた水仙も、そろそろ終わりのよう。  本当はもう花がらを摘んでしまわないといけないのだけれど、名残惜しくてあと数日はそっとしておこうかな、と思っています。  そうそう。  うちの水仙はどれも一重咲きなのに、この株だけ八重咲なんです。  突