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仕事で一人の人生を変えてしまった

 こんにちわ、モグ(@moneymog)です。

 インパクトのあるタイトルを書いてしまいましたが、メンバー育成の話です。最近職場が変わったんですが、前の職場で1年ちょっと育成に力をいれたときの振り返りとして、メンバーをどう育成したかを書こうと思います。メンバー育成に苦労している方に向けて、参考になれば幸いです。
 なお、育成者視点を中心に記載しているので、バイアスがかかっている可能性がありますので、考慮してお読みいただければと思います。

1.育成時の自分とメンバー

・自分
 某SOC(Security Operation Center)のテックリードポジ(当時)
 対応プロセスや検知ロジックの設計等の上流工程(企画・設計)を担当
・メンバー
 某SOC(Security Operation Center)のメンバー(当時)
 手順書に従ったアラート対応等の下流工程を担当

2.育成前と育成後の変化

 育成することで、上流工程(企画・設計)がある程度実施できるように
なったのですが、その過程で2つの大きな変化がありました。
・『ただ真面目な』から『責任感を持った』仕事に
・『具体論』中心の理解から『抽象論』も理解可能に

『ただ真面目な』から『責任感を持った』仕事に
 一緒に仕事を初めて、まず気になったのが方針やゴールの確認が甘い点でした。例えば、対応プロセスの検討において、対応のポイントを理解できていない状況で手を進め、最後まで進めてから報告されるという感じでした。当然ながら、アウトプットは求める品質感のものではなく、やり直しになってしまいます。恐らく『真面目に手順通り進める』の感覚で実施した結果だと推測されます。
 育成後は、適宜確認ポイントを自発的に設け、求めているものとずれがないかというのを確認するようになり、手戻りが少なく、求める品質をクリアするようなアウトプットを出せるようになりました。

『具体論』中心の理解から『抽象論』も理解可能に
 また、目的を意識するということが習慣づいていませんでした。例えば、対応プロセスの検討において、他のプロセスを真似て、何となくそれっぽいものが報告されるという感じでした。見かけ上、それっぽいのですが、意図を確認すると詰まる点が多く、結構なやり直しが必要でした。
 育成後は、目的のすり合わせから始まり、その目的を達成できているかの確認も実施できるようになったので、アウトプットの品質がだいぶ向上しました。

『手順に従う』から『手順を考える』が実施可能に
 前述の2つの変化により、上流工程(企画・設計)がある程度、実施可能になりました。
 また、上流工程(企画・設計)では、具体と抽象の行き来が必要であり、認識の祖語が生まれやすいと考えており、『目的と手段の整理』と『細かな確認』が重要な要素になってきます。

3.育成内容

 『目的と手段の整理』と『細かな確認』を身に着けてもらうために、
3点を意識して育成しました。
・信頼関係の構築
・圧倒的なインプット
・適切なタスクアサイン

信頼関係の構築
 まず、『細かな確認』のために、信頼関係の構築を実施しました。具体的には「何でも聞いてください」と最初に宣言した上で、『確認したことを褒める』を一貫して続けました。『細かな確認』をしやすい環境を提供するとともに『確認すること』が正しいという共通認識を醸成しました。
 その結果、私に聞きにくいという感覚は全くなかったようした。(後日メンバー談)

圧倒的なインプット
 次に『目的と方法の整理』のために、圧倒的なインプットを繰り返しました。具体的には、目的と方法を整理したお手本を見せ、解説するということを繰り返しました。
 目的と方法を整理には、ロジカルシンキング等の手法を使ったりしますが、知っているだけではあまり役に立たず、実践で繰り返し使ってみることで、何とかものになるという特徴があると思っており、その時間を短縮するためにお手本とその解説を実施しました。
 その結果、2、3か月程度で説明内容がある程度理解できるようになりました。

適切なタスクアサイン
 最後に、『目的と方法の整理』をさらに強化するために、適切な難易度のタスクアサインを実施しました。具体的には、メンバーの『目的と方法の整理』の能力に合わせて、『詳細設計のみ』や『基本設計と詳細設計の両方』等のタスクの範囲だったり、明示するヒントの量を調整したりしました。
前述のとおり、『目的と方法の整理』の習得には実践経験が必須なので、その経験をちょうど良い負荷で積んでいただきました。
 また、できていることやできていないこと等を多めにフィードバックし、自分の能力状況を把握していただきました。特に『できるようになったことのフィードバック』により、成長を実感してもらえたんじゃないかと思います。
 その結果、メンバー本人が自覚できるほど『目的と方法の整理』の品質が向上しました。

4.まとめ

 メンバーに『目的と手段の整理』『細かな確認』を身に着けさせるために、『信頼関係の構築』『圧倒的なインプット』『適切なタスクアサイン』を実施したら、めっちゃ成長して、上流工程を任せられるようになった。

5.感想

 育成をする過程で、良い関係を構築できたので、1年ちょっとと短い期間でしたが、楽しいお仕事期間でした。また、異動時に、いろいろ価値観が変わったというフィードバックもいただけたので、非常に満足しています。(タイトルはこのフィードバックを大げさに書いております)
 なお、上流工程の習得には、ある程度の時間が必要だと改めて感じたので、育成する方もされる方も焦らず、楽しく仕事できると良いのかなぁと思いました。

6.参考

 育成方法を検討するにあたって、参考になる3つの考え方があるので、
紹介します。
・マズローの承認欲求
・山本五十六語録
・SL理論(状況対応型リーダーシップ)

マズローの承認欲求
 自己実現に向けて、必要な欲求の考え方を整理したもので、下から順に満たす必要があります。『信頼関係の構築』と『適切なタスクアサイン』で参考にしました。会社や社会で社会的欲求までは満たされてると思ったので、『確認したことを褒める』で承認欲求を満たすことを意識しました。また、『できるようになったことのフィードバック』を実施することで自己実現欲求を促しました。

マズロー

山本五十六語録
 山本五十六の語録で、軍人としての部下統制のエッセンスが詰まっている言葉です。圧倒的なインプットを中心に、こちらの考え方を参考にしました。

山本五十六

SL理論(状況対応型リーダーシップ)
 当時は知らなかったんですが、SL理論(状況対応型リーダーシップ)という考え方があるそうで、適切なタスクのアサインを意識することで、偶然にもこの考え方に近い内容を実践できたのではないかと思っています。


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