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大河ドラマから見る貨幣史

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2020年3月の記事一覧

大河ドラマから見る日本貨幣史5 『道三は何故、尾張の港をそんなに欲しがってるの!?』

大河ドラマから見る日本貨幣史5 『道三は何故、尾張の港をそんなに欲しがってるの!?』

 海洋国家である日本において、大きな港をもつことが有利であることは想像に固くないでしょう。だから、ドラマの中で斎藤道三が、港を欲して織田家と同盟を結ぼうとしたという展開は、美しい展開だと思います。

 ですが、美濃という国は絶望するほど交易に不利だったかというと、そんなことはありません。そもそも美濃には、後に中山道となる街道が通っており琵琶湖水運を用いるために東日本から陸路で運ばれてくる物資は必ず

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大河ドラマから見る日本貨幣史4『中世日本の金融を支配した延暦寺』

大河ドラマから見る日本貨幣史4『中世日本の金融を支配した延暦寺』

『麒麟がくる』第一話の衝撃は未だに忘れられません。美濃から琵琶湖を渡り京へ入る光秀が歩んだ旅路が、中世の日本社会を極めてリアルに描写していたからです。

特に、琵琶湖後に描かれた、僧兵が関銭を払えない庶民を捕え暴行を加えている描写は、なかなか今までのドラマでは描ききれなかった所です。琵琶湖を抜けた場面でしたので、あの場面で暴行をふるっていた僧兵集団は比叡山延暦寺の僧兵でしょう。街道沿いであることを

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大河ドラマから見る日本貨幣史3 『今宮神社とお団子と双六と』

本日の麒麟がくるで駒が連れていかれたお団子屋さんですが、場所は京都府北区にある今宮神社の前ですね。

http://www.imamiyajinja.org/ (今宮神社公式サイト)

独特の形のお団子に「戦国時代のお団子はあんな形をしていたんだ」と感想を持たれた方もいるかと思いますが、あれはここでしか買えない「あぶり餅」というお団子です。平安時代から伝わる由緒正しいお団子で、今でも今宮神社に行け

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大河ドラマから見る日本貨幣史『麒麟が来る第9話より』

2020年3月15日放送の『麒麟が来る』のラストシーンで、行商の「一服一銭」が出てきました。一服一銭は、銭一文でお茶やタバコを売っていた商人のことです。戦国時代の庶民が何を飲んでいたかについては、宣教師の記録に「夏の暑い間でもぐらぐらと沸かした湯を飲んでいた」と記されており、当時の日本において生水を飲むという行為がほとんど行われていなかったことが知られています。店舗型の茶店など営めないような戦乱の

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大河ドラマから見る日本貨幣史2         『鉄砲の値段を自分で計算してみよう!』

『麒麟が来る』のドラマ構成が見事な所に、1話ごとに必ず目的が設定されるところがありますよね。主人公・明智光秀がその目的を達成すべくあくせく動く裏側で、別の思惑や歴史の大きな事件が動いており、それが次回の目的設定につながっていくという構成は、シンプルで見やすい構成となっております。

さて、そんな麒麟が来る第一話で光秀に提示された目的が、堺で鉄砲を買ってくるという物でした。なんとなく、鉄砲はめちゃく

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