「人新世の資本論」人々は脱成長できるのか!?
こんにちは、MABOです
今回は斎藤幸平さんが書かれた「人新世の資本論」の感想文を書いていきます。
本書は2020年に出版され、40万部を超えるベストセラーとなっています。
本の売上に比例して斎藤幸平さんの知名度も増し、各種メディアで引っ張りダコの時の人となっています。
人新世とは
人新世とは、人間の活動の痕跡が地球の表面を覆い尽くした年代を意味します。
地質学では時代ごとに繁栄した生態系から、地質時代が区分されており、
有名なところでは、恐竜が繁栄したジュラ紀などがあります。
現代は人間の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため人新世と名付けられました。
資本主義は搾取の歴史
そんな人新世は資本主義の時代と言えます。
資本主義のおかけで、安くて美味しいものが手に入ったり、衣服などの必要なものはすぐ買える状態で、先進国はとても豊かになりました。
この豊かな生活を、本書では「帝国主義的生活様式」と呼んでいます。
帝国主義というと、いかにも悪者的な表現ですが、まさにその通りで、先進国が大量生産、大量消費で豊かに暮らすために、アフリカなどを含む南半球地域グローバルサウスから搾取することで成り立っています。
さらに、資本主義の過剰な成長はとどまることを知らず、環境からも搾取するようになりました。
例えば、食用油のパーム油は日本でもよく使われていますが、熱帯雨林の過剰な開発により森林破壊を引き起こしています。
この他にもファストファッションや、スマホ、EVの材料、石油などの化石燃料はこのような地域の環境を破壊し、安い労働力を使いながら調達しています。
私は日々、お金について勉強していますが、資本主義が搾取の上に成立していることは意識したことがありませんでした。
この事実を知ってお金について少し考え方が変わりました。
例えば、投資において、全世界株式インデックスファンドに積立投資すれば、資産が増える!
という考えが主流ですが、、、
これは世界が経済成長し続けることに投資するということになります。
しかし、搾取するところがなくなれば経済成長は止まる、少なくとも鈍化することが予想されます。
そう考えると安易に全世界株式インデックスファンドに積立投資!
という戦略にも疑問を持つことができますよね。
(だからと言って、どうするのか答えはありませんが、、、)
脱成長コミュニズムとは
資本主義における搾取の限界が見えている状況で、解決策はあるのか?
本書ではその結論として脱成長コミュニズムを提唱しています。
脱成長は、言葉通り、過剰な経済成長をやめようという考えです。
既に十分豊かなんだからこれ以上成長する必要ないんじゃない?ということです。
では、どのように生きていくのか?
それが、コミュニズムという考え方です。
コミュニズムとは、使用価値のあるものを市民が運営し、低コストで社会に提供する仕組みです。
(例えば、水、電気、農業など、、、)
これにより、貧富の格差は関係なく、すべての人が豊かに暮らすことができます。
まさにユートピア!
いやいや、そんなの理想論でしょ(笑)
と思うかもしれませんが、スペインではこの仕組みが取り入れられています。
具体的には、ワーカーズ・コープと呼ばれる市民が運営する生活協同組合がいくつもあり、農業、教育、清掃などのエッセンシャルワークを行っています。
これがコミュニズムの一つであり、市民生活を支えています。
個人的には地方の過疎地域はコミュニズムに近い取り組みが可能な気がします。
水は地下水で賄い、電気は再エネと蓄電池(電気自動車なども活用)でスマートグリッドを形成、土地はたくさんあるので農作物をみんなで育てる、
といった形で、ある程度の生活インフラを確保することは可能ではないかと思います。
ぜひ殺伐とした都会から、そんなユートピアに移り住みたいものです、、、
コミュニズムは理想なのか、、、
最後に個人的な感想てすが、
脱成長コミュニズムは理想的だけど、現実的ではないと感じています。
というのも、人間は成長したい生き物だからです。
私自身もそうですが、成長が止まり、停滞感が続くと気分が落ち込みますよね、、、
それこそ資本主義の罠にかかっているのかもしれませんが、この成長意欲を止めることは現代人にとっては難しいと思います。
(私自身も成長が生きがいなので脱成長はなかなか受け入れ難いものがあります、、、)
しかしながら、本書のインパクトは大きく、ベストセラーになるということは、それだけ脱資本主義の関心が高まっている証拠でもあります。
脱成長コミュニズムがより多くの人に広まれば、一部地域からでもそのような取り組みが進んでいくのかもしれません。
少なくとも私自身はこのような現実を頭の片隅に置きながら人生を過ごしていきたいと思います!
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