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「トゥトゥルパ神の供物」制作振り返り 〜unity1week「おくる」〜

1週間でUnityでゲームを作るイベント、unity1weekに参加し、「トゥトゥルパ神の供物」というゲームを公開しました。

今回はこのゲームの制作について振り返っていきます。


はじまり

このゲームが生まれるにあたって要となった出来事を紹介します。

会話イベントのライブラリ「Fungus」

11月中旬、友人と制作を進めているゲームの中で会話ウィンドウが登場するため、便利なライブラリがないか調べていたところFungusというUnityのライブラリを見つけました。
Fungusは会話システムの構築だけでなく、ドラッグアンドドロップで進行するシナリオや、アイテムウィンドウの操作、データのセーブ・ロードなど、結構いろいろできるようでした。
なんならFungus単体でゲームを1個つくれるくらいの機能はあるということが分かったので、この時点でFungusをベースにゲーム1本つくりたいなあという思いが生まれ始めました。
この時の思いが今回のゲームシステムのベースとなりました。

邪神アイデアの原点

12月頭、仕事の出張で急遽福岡へ行くことになりました。
福岡は学生時代過ごした土地ということもあり、自分にとっては第二の故郷とも言える場所です。
せっかくなので一緒に福岡に来た上司と、太宰府天満宮とその横に建っている九州国立博物館に寄り、特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」をみて帰りました。
古代文明に思いを馳せ、記念にパンフレットを買って帰りました。
結果的にはこの時のインスピレーションが、「トゥトゥルパ神の供物」の原点となりました。

死生観の影響

また、12月中旬に北野武監督の映画「首」を観て、感銘を受けました。
同監督の「アウトレイジ」にも共通して言えるのですが、人の命のやりとりが実に淡白に描かれています。
「人の死」は社会的な権力争いのシステムの一部であり、それ以上のなんでもないという割り切った死生観が衝撃的でした。
「トゥトゥルパ神の供物」の救いようのないENDの数々は、この映画に大きくインスパイアされていると思います。

unity1week開始!しかし・・・

12/18(月)にunity1weekのテーマ「おくる」が発表されました。
ゲーム制作において何かしらの強制力を欲している身ですので、unity1weekはゲーム制作の絶好の機会であり、積極的に参加したいイベントです。
ただ、この頃、仕事が絶妙に忙しい時期で、余裕が見えないので参加するか悩んでいました。

しかし、その週、仕事が荒れに荒れました。
暇な時間が完全に消え去ったので、unity1weekの参加を諦めるか、、、と思っていました。

ですが、前回のイベントで最終日直前まで頑張っている方や、イベントが終わってからもアップデートし続けている方々を思い出し、やはり挑まないともったいない、という思いにかわりました。
そこで、遅刻確定だけど、参加することに決めました。
最終的に仕事が落ち着いたのが締切から2日後で、この日からようやく手を動かし始めました。

今回unity1weekの遅刻を許容するか否かについて話題になりましたね。
自分は遅刻している身なのでなんにも言えないですし、この件についてはイベント主催者の判断に従う他ないと思っています。
ですが、少なくとも遅刻の許容がなければこのゲームは生まれることは絶対なかったと思うので、個人的にはこのゆるさには感謝しています。。

ゲーム制作開始!

実は当初は和風の神にしようかなと考えていました。
女神の継承とか呪詛とかのイメージが自分の中では大きかったですね。

ですが、考えているうちに、そういえばこの前行った古代メキシコ展の資料使えるじゃん!と思いつき、古代メキシコ風の邪神に舵を切りました。

BGMを探す

続いてBGM探しです。
個人的に音がゲームの雰囲気を作り上げる一番大事な要素と思っているので、まずはBGMを探して世界観を作りあげようと思いました。

「フリーBGM ホラー」で検索していく中で、この曲を聴いた瞬間、これしかない!と直感しました。

ホラー系のBGMって静かで緊迫感のある感じが多いんですが、今回イメージしていたのは序盤から勢いでごり押すタイプのホラーでした。
アップテンポでハラハラを催す系のホラーBGMという括りの中ではこの曲が唯一当てはまったので、ありがたく使わせていただきました!

グラフィックを依頼する

当初はグラフィックも自分で全部作ろうかと思っていたんですが、すでに遅刻をしている身として、年内にはどうしても完成させたかったので、初めてグラフィックを外注することに決めました。
そこで、絵の上手いリアル知人の二人(エス氏・GUAMU氏)に協力を依頼しました。

エス氏にはキャラデザを依頼しました。
頭は三つ、動物系、アステカ風味というざっとしたイメージだけ伝え、資料として先日買ったパンフレットを提供し、あとは自由に描いてもらいました。
なんとなく自分は、邪神は男・または無性別なキャラクターをイメージしていたんですが、エス氏が提案したラフでは長女・次女・三女の設定が盛り込まれていました。
ラフを見た段階で、「姉妹」の方がキャラクターに深みがでて面白そうだなと思い、アイデアを採択しました。

続いて、UI系のグラフィックはGUAMU氏に依頼しました。
GUAMU氏はCG系の会社働いていることもあり、総合的なビジュアル作成能力が高く、背景・供物・会話及び選択ウィンドウ・ストレスゲージなど、キャラデザ以外のすべてのビジュアルを作ってくれました。
彼の制作風景を少し覗いていたのですが、床のタイル生成ではCGソフトのHoudiniを使用していて、乱数でタイルを生成したあとAfter Effectで線の手書き感を付与してました。
こんな2Dビジュアルの制作方法あるんだ・・・本職の人ってすごい・・・!

お二方のおかげでめちゃくちゃいいグラフィックに仕上がり、すごくゲームのクオリティが上がりました。大大大感謝です!!

Unity作業

いよいよUnityの作業にとりかかります。
ドラッグアンドドロップのシナリオシステムの構築は、前述したUnityのFungusというライブラリを使用しています。

組んだフローチャートの一部を紹介したいと思います。
(未プレイの方はネタバレ注意!)

fungusのフローチャート構成

線がいっぱいでカオス・・・
日本語と英語も混在してるし・・・ですねー。
供物のあたりはもうちょっと賢いやりかたあったでしょと思うんですが、マンパワーでやりすごしました。
各フローの中でセリフ管理だけでなく変数の調整・音効・表情の変化なども含めているのでまあまあ面倒くさいことになってます・・・
こういう時効率化できる知恵があれば素晴らしいのですが、正月に頭使いたくないが故にゴリ押し解決の道を選択してしまいました。

結局年明けに跨いでしまったのですが、稼働期間1週間くらいでなんとかゲームを無事リリースすることができました!

最終評価

unity1weekでは、総合24位というありがたい結果をいただくことができました!(1/7時点の結果)

時間がしっかり取れない中のゲーム制作だったので、個人的には大満足な結果です。
また、楽しさ部分で初めてランクインしたので嬉しかったです。
ゲーム作りのスタンスとして、「自分が作りたいものを作る」という形なので、それが必ずしも遊んでいて楽しいのか?という疑問を持ちながら作る場面が多く、ゲームとしてはどうなんだ・・・と悩むことも今まで多かったです。
そんな中、今回は楽しかったと感じていただいた方が多かったようで、ゲーム作りの大きな自信になりました。

公開後、バズる

unity1week結果発表の夜、ロッズさんに紹介いただき、ゲームがバズりました。

めちゃくちゃびっくりしました…!
ロッズさんはゲームの紹介がとにかく上手い方で、ロッズさんに紹介されるようなゲームを作成したいというのは個人的な一つのモチベーションだったため、はちゃめちゃに嬉しかったです。

結果的にページ閲覧数は400回から5.2万回に増え、多くの感想やFA・SSなどの二次創作までいただけるようになり、本当に刺激的な体験でした。
こんなにも多くの人に遊んでいただき、トゥトゥルパ神について考察していた抱く中で、トゥトゥルパ神どんどん魂が吹き込まれるのを感じました。
二次創作でみんなが世界を広げていく文化が自分は大好きで、それを生み出す側に回る日が来るとは1ミリも思っていなかったです。

自分は、知らないゲームを遊ぶというのはとてもハードルが高い行為だと思っています。
時間取られるし、それがいい体験になるとも限らないし。
なので、1プレイしていただけること、1つの感想をもらうことが本当に嬉しく、大変貴重なことだと思っています。
改めて、プレイいただいた皆様、本当にありがとうございました!!!

追加エンドについて

みなさまの感想を拝見させていただくと、やはり人によって独特な観点があり、自分も予想していなかったような反応がありました。
特にSCP界隈や、クトゥルフ神話などのTRPG界隈の方から多くの反応をいただけていて、なるほどなぁと思いました。
あえてどんな反応だったかは伏せますが、その人たちへの感謝の意味もこめて、SPECIAL ENDを追加させていただきました。


「トゥトゥルパ神」が愛される存在になったのであれば、これほど嬉しいことはありません。

これからも引き続き、トゥトゥルパ神をよろしくお願いいたします。

まとめ(+おまけ)

今回のunity1weekは非常にいろんなことがあり、勉強になりました。

いろんな楽しいゲームに触れられてアイデアが溢れだす、こんな素敵なイベントを開催いただいている運営の方には本当感謝しかありません。
ありがとうございました!次回ももちろん参加します!!


最後に、キャラデザ担当のエス氏からトゥトゥルパ神のラフ画もらいましたのでこちらに掲載して、終わりとしたいと思います。

拝読いただきありがとうございました!!

単眼じゃなかったラフ
顔アップ(狐っぽい?)
マダム感・・・


※ noteのサムネはHagi42さんの手書き風フォント使用させていただきました!


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