日本の店で、客としての挨拶は必要?
日本人は、一般的に、外国の人々から「礼儀正しく、親切な国民」とみなされていて、褒めていただくことも多いのだが、この習慣については、別の国の人々の方が「礼儀正しい」かなということをひとつ。
イタリアでは、店に入店する際は、”Buongiorno/ブォンジョルノ(こんにちは/おはようございますの兼用)” ”Buonasera/ブォナセーラ(こんばんは)”と挨拶し、退店する際には、たとえば何も購入しなかったとしても、”Grazie/グラッツェ(ありがとう)” ”Arrivederci/アリヴェデルチ(さようなら)”と挨拶して店をあとにするというのが一般的で、作法/礼儀となっている。
一方、日本の場合は、店員さんは、来店客が来れば「いらっしゃいませ〜」と迎え、退店する際には「ありがとうございました」と声がけするものの、客の方が声を出して店員に挨拶することは、どちらかと言うとめずらしいかもしれない。
飲食店の場合は、退店の際に「ごちそうさまでした」と挨拶したり、馴染みの店や知り合いの人の店ならば、入店の際にも挨拶をするやしれないものの、それ以外ならば、多くの人が挨拶をしたとしても、声を出さずに会釈程度のように思われる。それは、日本社会では、店員<客と、客の方が敬われるべきという構図ができているからだろうか。わたしたち日本人は、客である場合、そのような振る舞い方が身に付いていて、声に出して挨拶をしなくても特になんとも思わず、逆にこういった場合には、声を出して挨拶することに違和感すら感じるかもしれない。
この違いに気が付いたのは、何回も来日している日本好きのイタリア人たちから、「イタリアでは店の来店時・退店時にひとこと声をかけるけれど、日本ではその場面では何と言えばよいのだろう?何も言わないのは失礼な気がして居心地が悪いのだけど……」という質問を何度か受けたことがあるからだ。
たしかに、そういった場面で挨拶しなれている人にとっては、無言で出入りすることに失礼な振る舞いをしているようでなんだか気になるという点は、こちらの社会で生活していると分かる気がする。
日本人配偶者がいるイタリア人から、「日本で店に行って挨拶をしたら、『日本では、そういうのは言わないの!』と止められたけれど、やっぱり気になるのですが……」と相談を受けたこともある。
そこで、そういった場面でも日本人に違和感を感じさせない挨拶として「どうも」はどうだろうかと思い付き、勧めてみた。「どうも」ならば、軽い雰囲気の「こんにちは・こんばんは」の意味でも「ありがとう」の意味でも使え、そこまで仰々しくも響かないのではないかということで。
ちなみに、この話題について日本の友人に話してみたら、「あー、たしかに日本人はそういう場面であまり声を出さないよね。わたしは店員さんではないけど、でも、外国の人がそういう風に挨拶してくれたら、なんだか可愛くて、きっと日本人の店員さんも嬉しいと思うよ!」と、日本の店員さんの気持ちを代弁してくれた。
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