小学校の先生の『保護者対応で大切なスキルと考え方』
私は小学校の教諭となり9年目です。世間ではモンスターペアレントというワードも出てきて、保護者と学校がどう繋がるかがとても重要になってきています。私も教諭になって一年目、保護者との関係づくりに失敗し、苦しい思いをしました。その時に言われた「子どもがいない先生には、親の気持ちは分からないですよね!」の言葉はとても悔しかったことを覚えています。そこから、保護者とどう繋がっていけばよいのかを考えて関わるようになりました。そんな私の経験から得た、『保護者対応で大切なスキルと考え方』をnoteにまとめていきたいと思います。
1.困った保護者は、困っている保護者
学校に無茶なクレームなどを言う困った親、所謂「モンスターペアレント」。そんな保護者は、学校に高圧的にものを言ったりすることもあり学校でも構えてしまいます。
しかし、学校に高圧的に来るということは、その前にクッションとなる場がないとも捉えられます。本来なら近くの誰かに愚痴を言って少し気持ちが和らぐものも、その場がなく、孤独な状態であったり、我が子の事で心苦しい思いをしたり、自分の子育てに自信がなく、子どもの失敗を親の失敗と考えすぎてしまったり・・・。
ですから、学校からしたら「困った保護者」というのは実は、保護者自身が「困っている保護者」と捉えることができます。そう考えると、保護者からのアプローチには、「それは、ご心配をおかけしました。」や「お子さんにも、保護者の方にも嫌な思いをさせてしまいまして・・・。」など相手の気持ちを考えた返答からのスタートになると思います。最初に、相手の背景を頭に入れて、対応することが大切だなと思っています。
ちなみに、モンスターペアレントという言葉が出てきてから、保護者が学校に何か言いにくくなったという事も聞いたことがあります。ある保護者にとっては勇気を出して学校に電話したかもしれないと考えると、学校では「教えていただいてありがとう。」という気持ちにもなります。
2.相手の想像を超えて動く
私が仕事をする上で大切にしていることの一つに「相手の想像を超えて動く」があります。これは保護者と繋がりを作るうえでも大切だと思っています。保護者の想像を超えた対応をすることは、保護者からの信頼にも繋がると考えています。
相手の想像を超えて動くために大切にしているのは、まず「スピード」です。例えば、連絡帳で保護者から何か連絡が来た場合、可能な限り最短で対応をします。連絡を連絡帳で返す場合もありますが、可能なら、すぐに対応をし、職員室へ行き電話をします。これが本当にいいのか分かりませんが、何か保護者がモヤモヤしたものを抱えている場合は、連絡帳の返信では、そのモヤモヤの時間が長くなり、そのモヤモヤは膨らみ続けます。ですから、最短で電話をし、少しでも安心してもらえるように話をしたり、話を聞きたります。それ以外の場面でも、「スピード」は信頼に繋がると思って動いています。
次に、相手が思っているよりも「丁寧」に動くことを大切にしています。「これくらいでいいかな?」ではなく、最大限丁寧に対応します。子どもの事などで、何かあった場合に、どのように対応し、現在どのうような状況なのか、今後どのようにするのかを保護者にしっかりと伝えるようにします。場合によっては、学校でも情報共有をし、管理職にも判断を仰ぐなど、チームで対応することも大事です。私にとってはちょっと丁寧すぎるかなくらいが丁度よく、自分から「このくらいで・・・」ではなく、「保護者から、そこまで丁寧にしていただかなくても、先生も大変ですから・・・」と言われるくらいを目指しています。保護者にとっては、大切な我が子ですから。
3.それでも線引きはする
保護者の想像を超えることを大切にしていますが、それでも、すべての願いを叶えることはできません。
自分自身の家庭のこともありますから、例えば、「夜7時に電話を欲しい。」と言われてもできないこともあります。強気に「それは勤務時間外なのでしません。」とは言いませんが、「その時間は私もどうしても我が子の迎えがあって・・・」などと、難しいことは難しいと伝えます。もちろん、その代案を出したりして、保護者と対話しながら話を進めていきます。
また、管理職と相談しながらですが、学校でできる事とできない事はしっかりと伝えます。できそうにない事を、「します!」と言ってしまうと、無理をして苦しくなるばかりか、上手くいって当たり前という状態になり、できなかったら信頼を失います。学校でできることを伝え、そこを確実に行うことで信頼を得ることが大切だと思っています。
私が思う学校でできることは、学校がコントロールできることかなと思っています。例えば、児童同士でトラブルがあったときに、「子どもが二度と嫌な気持ちにならないようにして欲しい。」という要求には対応できません。嫌な気持ちになるのは子どもの捉えであるので、こちらでコントロールできないからです。そうではなくて、その子が嫌な気持ちにならないように、周りに声をかけたり、注意深く見守ったり、一日の終わりに声をかけたりして安心した環境を作ることはできます。これは、学校が、教師が、コントロールしてできるからです。そうやって、学校側でできること、コントロールできることを「できる事」として行っていくことが大切だと思っています。
4.小さなことで繋がっておく
私はあまり頻繁に電話を掛けたりして保護者と繋がる方ではありませんが、時々、小さな良い事で連絡をとったりして繋がりは作ります。そして、少し子どもの事で気になる事、今後、大きく問題になりそうな事があったときには、小さな問題のうちに「今、こんなことがあって、もしかしたら今度、こんなことがあるかもしれないのでこちらも気にかけてみておきますね。」と先に伝えておくこともします。そうすることで、大きな問題になってから保護者が初めて耳にするということがないようにしています。
もちろん、「その子が悪い!」という見方ではなく、そのような事をしていると「○○さんが周りからマイナスに見られたらかわいそうで・・。」という伝え方をします。それは、「悪いことをしている。」だけなら、保護者にとってみたら、我が子が非難されていると思ってしまうからです。そうではなく、その子の未来を考えたとき、その子が苦しくならないようにと考えて伝えていることを保護者にも伝わるように伝えます。その子のことを心配しているという気持ちを持って話をすることが大切だと思っています。
最後になりましたが、保護者対応の「対応」はなんだか、悪いことが起こってからのマイナスのようなイメージをもってしまいます。そうではなく、保護者とともに、対話しながら、一緒になって子どもをより良い方向へと導いていくというプラスの保護者との繋がりを作っていけたらと思っています。これは私なりの考えで、100%の答えではないですがどなたかの考えにプラスになることができたらと思います。