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小学校の先生の「自分のメンタルを保つ」仕事術

 私は小学校の教諭をしています。教諭になって8年目ですが、最近はようやくメンタル的にも落ち込むことも少なくなって、ある程度メンタルが安定した状態で仕事をすることができています。月の残業も10時間~20時間程度で、比較的定時退勤をすることができるようになったのも要因の一つかもしれませんが、仕事で起こった出来事、起きている出来事に対しての向き合い方が変わってきたことが自分のメンタルを保てるようになったことに繋がっているのではないかと思っています。
 私自身、保護者との関係が上手くいかなかったり、対人・対物の暴力を繰り返すようないわゆる「キレる子」を担任して悩んだりと苦しい思いもたくさんしてきました。時には、もうこんな仕事は嫌だと思ったりしたこともあります。そんな日々を過ごすてきた中で得た、自分のメンタルを保つ仕事術について書いていきたいと思います。仕事術というより、考え方中心になってしまいますが・・・。

1.仕事に行けば100点の加点方式

 初任の頃、保護者との関係や学級の児童との関係などで悩み、苦しい思いをしました。そんなときに、仲の良かった教育委員会の先生に言われた言葉があります。それは「とりあえず学校へ。その場所にいるだけでもいいから。」です。お金をもらって仕事をしている以上、子どもたちの成長をしっかりとサポートしたいと思っています。でも、どうしてもできない時があります。上手くいかないときもあります。申し訳なさもありますが、そんなときは、「仕事に行けば100点」。それだけで100点と思うようにします。そこから、何か一つでもすることができたら加点方式で得点を追加します。できなくても100点です。
 何をやっても上手くいかない日もあるし、保護者との関係、児童との関係が悪化してしまうと、何をやっても上手くいかない1年もあります。どうテコ入れしても難しい状況があるんです。そんな時は、とりあえず上手くいかなくても仕事にいけばいいんだと考えるようになりました。
 もちろん、仕事に行くことができないくらいのメンタル状況であれば、「休む」も大事です。自分にしかできない仕事なんてそうそうありませんから。結局、その仕事のほとんどは、誰でもできるものですから。

2.今、その瞬間に変わらなくたっていいじゃない

 年齢を重ねると、大変だと前評判のある学級を担任することもでてきます。私も、対人・対物の暴力を繰り返す児童を受け持ち、片手で抑えながら授業を続けるということもありました。学級担任としては、「今」、目の前の児童が、適切な行動をしていないと焦ります。周りの先生たちの目が気になり、時には「こう指導するべきだ!」なんて他の職員から言われることもあるでしょう。そんなことを言われると、目の前の児童が「今」、変化しないことに焦る気持ちや、自分のプライドが傷つけられるような気持ちになってしまうかもしれません。
 でも、目の前にいるその子は、「今」は変わらないかもしれないですが、真摯に向き合っていれば、きっといつか変わる日が来るのです。それが、自分が関わった数年後になるかもしれませんが。たまたま、「今」は変わらない。いや、変われないだけなのです。
 自分自身が指導するときに変化が起きないことに落ち込まない。「自分の指導で変わらない」という、そんな大人のちっぽけなプライドが折られたくらいでイライラしないことです。実際、私が担任した大変だと言われていた児童は、その一年間で大きな変化はありませんでした。でも、卒業式の日に「先生大好きです。」のメッセージとともに中学校へと旅立ち、中学校では小学校の時とは別人のように落ち着いて過ごしているとのことです。中学校へ巣立った本人が、卒業後会いに来てくれて頑張っていることを伝えてくれました。
 私が担任した時に落ち着かなくても、一生懸命に関わった日々はその子にとって無駄にはならないのだと思います。だから、「今」変化しないことに落胆しないように、周りの目を気にしないようにと考えるようになりました。

3.やりがいはコントロールできるところに

 以前、職員研修でこの仕事の「やりがい」について話をしたときに、多くの先生が、「子どもの成長を感じたとき」と言われていました。確かに、子どもが大きく成長する姿を見るとよかったと思います。
 しかし、逆に言うとこの「やりがい」の捉え方は、子どもが成長しないと「やりがい」を感じにくいということに繋がります。子どもが成長するかどうかは、子ども次第のところもあります。自分で100%コントロールできるかというとそうではありません。ですから、私は自分でコントロールできるところにやりがいを持っていくようになりました。
 私の「やりがい」の一つは「今、目の前にいる児童を見て、何が必要か考えたり、学んだりして試すこと」です。子どもの成長のために、必要なことを本を読んで学んだり、人に聞いたりしながら、何か手立てを打つ(あえて打たない場合もあります)。その結果、上手くいかなくても、それは上手くいかなかった方法を学んだということでOKです。人間同士の仕事ですから、今回は上手くいっても、次は同じ方法で上手くいかないなんて事は沢山あります。ですから、「何か試している」という事にやりがいを持つようになりました。ですから、本を読んで新しい知見を得ていなかったり、何も試ないでいるときには「やりがい」を持てずにいます。そこは自分でコントロールできるところであるので、これなら結果に左右されずに「やりがい」を得ることができます。

 最後になりますが、今教員の仕事は精神的にも苦しい仕事のように捉えられています。私も辞めたいと思う事もありました。でも、続ける中で、メンタルが安定して仕事に向き合えるようになってきました。定時退勤で家族との時間も多く持つことができて、プライベートも充実しています。もし、今悩んで、苦しんでいる人が、このnoteを見て、少しでも前向きな気持ちになって、「教員の仕事もいいな。」って思えるようになったり、幸せな人生を歩むきっかけになったりしたら幸いです。

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