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「全体」から「部分」へ学んでいくという事

 私は39歳で、小学校の教諭をしています。この仕事にしっかりと入り込んだのは30歳のときですから、今年が9年目となります。2年前に赴任した現任校では、大学の先生が研修に入ってくださり、たくさんの学びを得ています。
 さて、タイトルの『「全体」から「部分」へ学んでいくという事』ですが、これは、その大学の先生から、昨年度学び、今自分の中で学びにおけるキーワードとなっています。学ぶということは、部分、部分を学ぶのではなく、全体から学んでいくことが大事。その意識で日々子どもに関わっていこうとしています。
 また、子どもと関わる以外の場面でも生きる考えであると思っています。今回は「全体」から「部分」へをキーワードにnoteを書いていきます。

1.全体は部分の総和以上

 古代ギリシャの哲学者のアリストテレスは、「全体は部分の総和以上である (The whole is greater than the sum of its parts)」と言ったそうです。
 今の私の解釈は、部分、部分から学んでいても、全体は部分と部分の相互の影響があるため、部分を集めた以上のものであるという捉えです。
 例えば、サッカーで言えば、基礎練習でパス、トラップ、ドリブルの技術を部分ばかり練習しても、それが、ゲームという実践(全体)では、いろんな相互作用が働き、技術を発揮できなかったりするということです。
 そういえば、昔、ブラジルにサッカー留学していた先輩が、「ブラジル人は基礎練習めっちゃ下手なのに、試合になるとめちゃくちゃ上手い。」と言っていたのを思い出しました。日本人は逆だったそうです。それは、もしかしたら、ブラジルでは遊びの中にサッカーがあり、ゲームからスタートし、全体から学んでいるということなのかなと思ったりしました。

2.仕事も全体から学んだ方がよく分かる

 大学の先生が「全体」から「部分」へ学ぶということを私たちの仕事で例えてくれました。
 運動会の仕事をするときに、割り振られた「部分」の仕事をするよりも、運動会「全体」を進める仕事を担当した後の方が、仕事の全体が分かり、「部分」の仕事についてもよく理解できるということです。割り振られた仕事は、どことなく「こなす」仕事になってしまいますが、「全体」が見えているとその意味や意義が分かり、質の高い「部分」になるということかなと思います。
 私たちも「全体」から「部分」へ学んでいく方が、より学びが深まるということです。

3.タブレット学習から見えたこと

 1人1台のタブレットが与えられている現在の子どもたちですが、タブレットの使い方を懇切丁寧に、使い方を「部分」で学んでいくより、「とりあえず触ってみていろいろやってみなよ。」とバクっと触れさせてあげる方が子どもはどんどん学んでいくということがありました。
 例えば、パワーポイントで自己紹介を作るということに関しても、こちらが基本の型だけ見せて「いろいろやってみなよ。」と子どもに任せてみると、こちらが知らなかった機能まで見つけて使いこなしていく姿がみられました。

4.サッカースクール時代も「全体」から「部分」だった

 そういえば、サッカースクールで働いていた時も、子どもは「全体」から「部分」へ学んでいました。あるシチュエーションの場面に子どもを放り込み、その場面での上手くいかなかったことから、どうしたら良いか考え、狙いたい「部分」を学んでいったように思います。
 きっと、基礎練習を積み重ねてから、「さぁ、試合でやってみなさい。」では、その基礎練習の意味が分からず、必要感がなく、学びにならない状態で試合には活きないということなのかなと感じています。

5.コントローラーは子どもへ

 さて、「全体」から「部分」へという抽象的な言葉を自分なりに理解しようとして、具体的に実践してみようと思っている毎日です。この場面ではどう学んでいくといいのかと考えながら子どもたちと関わっています。
 先日、校内の授業研修で私が提案授業をしました。道徳の授業をしたのですが、大学の先生から頂いたアドバイスは、教材を読んだ後に、「子どもたちにこの話どう思う?と聞いてみたらどうですか。」でした。「あー、これも全体から部分だな」って私は思いました。バクっと全体を聞いてみる。その中から部分が見えてくるということです。結構、勇気が必要な問い方ですが、教師が聞きたいことを部分、部分で聞いていくのではなく、子どもにどう思うかを委ねる。教師がコントローラーを握るのではなく、子どもにコントローラーを渡す感じだと思いました。
 きっと、子どもにコントローラーを渡すと、大人が想像している以上に子どもたちは学んでいく。大人の手のひらの上で転がされた学びではなく、手のひらを跳び越えて学んでいく。そんな感覚です。

 最後になりましたが、「全体」から「部分」へ学ぶことをキーワードにこれからも自分なりの実践を積み重ねていきたいと思います。このnoteがどなたかの仕事や教育、人生のヒントになれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。


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