お盆に開いてる役所の話
お盆の時期は、役所はお休みじゃないんですか?
僕が公務員になってから、本当に毎年聞かれる質問がこれだ。住民の方からの時もあれば、知り合いなどから聞かれることもある。
確かに、毎日のように役所を必要としているのは、中で働いている人くらいで、大人になればたいていのことは一度で済んでしまうから、いつ開いているか、むしろ休みなのかは興味がないだろう。
いっそ「施設点検日」のようなものを設けて、全休になったらいいのにとさえ思う。ただ、そんなもの初めからわかってるんだから、土日にやれ、となるのだけれど。
お盆休みに役所は開いているのか?という質問には、「カレンダー通りです」と答えている。
そんなに働かなくてもいいのに、と皮肉混じりなのか労いなのか分からない言葉もあれば、誰も来ないのにカウンターに入るなんて無駄な仕事だと切り捨てられることもある。
確かに、業者も休みで、職員の半分くらいが休んでいる時期で、仕事だって忙しい人はおそらく少なそうだ。ただ、この時期から始まるのが来年度予算の検討なのだ。
今年度が半分も終わっていない(年度制なので、4月から9月が半期)のに、来年度のことを考えなくてはならないので、慣れないうちは大変だけれど、ようは来年何をするかをお金に換算していくのだ。
このところ管理費が少しずつ上がっていて、それを吸収するためにITだとかペーパレス(うちの役所ではペーパーレスではなく、ペーパレスと表記する)だとかが叫ばれている。
やらなければならない仕事は、そのまま落とし込めるのだけれど、やってもいい仕事はなかなか難しい。規模や内容を細かく決めて、仕様書という書類に落とし込まなければならない。予算にするには、やるべき理由を捻り出さなれけばならない。
例えば東京都は、予算を組む工程がシステム化されていて、所管部署(その仕事を受け持つ部署)が要求した金額と、実際に予算としてついた金額が比較できる。こんなに要求したのに財政部門に、ズバッと斬られた(査定という)のです、がすぐにわかる仕組みだ。
同じ役所内だけれど、事業部門と財政部門は、牽制しあっていて、予算を作る時期は、まるで中小企業と銀行のような間柄になる。
ともかく、電話も鳴らないし、ややのんびりとした空気感の中でも、来年のことを考えては、今年の残りの仕事を心配し、英気を養いつつ、予算について考えている。
ヘッダーに選んだものの、いまだかつてランチタイムに執務室内で集まってご飯を食べている光景は見たことがない。みんな自分のデスクで黙々と食べる。話したい人たちは、たいてい外のお店を使う。
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