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気になるタイトルの行方 #書もつ

印象的なタイトルの作品を読んだ時、本編とは別に気になることがあるのです。

タイトルにはどんな意味があるのか、そしてそれはどの段階で明らかになるのか、タイトルとして出した言葉がどんな役になっているのか気になります・・僕だけでしょうか?

読む本を選ぶとき、いろいろな選択肢の中で、タイトルや装丁(カバー)、作家名や書店のポップなどを見て決めていると思うのですが、とりわけタイトルはとても重要で、タイトルから内容を推測して読み始めてしまいます・・これも僕だけでしょうか?

君に舞い降りる白
関口 尚

果たしてこの物語は、たまたま我が家の本棚にやってきた作品でした。タイトルで選んだわけでもなく、家族から貸してもらった本でした。

物語の冒頭に、”君”が登場してくるので、タイトルの謎は序盤でわかるのか・・と期待しつつ、なかなか正体を表さないタイトルにヤキモキしながら(どんな読み方・・笑)、物語は雪だるまのように膨らみながら転がっていきました。

この作者が書く世界は不思議で、何の変哲もない日常のようでいて、実は全く想像できないような景色が見えてくるのです。

この話の舞台になっている「石の花」も、外観と中身のギャップや、元々は違う商売だったという設定も、きっとどこかにあるかも知れないけれど・・、なんて考えてしまうのです。

青春小説、なんて言われ方をするこの作品ですが、僕には主人公の恋愛の様子が、あまり好きではないな・・なんて思ってしまいました。

若い頃の恋愛って、そんな感じなのでしょうか。短絡的ではないけれど、いやなんというか健全でもないような。とにかく、主人公がモテているのが解せなかったのかも知れません(笑)

石という物言わぬ物体を通じて、人の心が見えてくるような作品でした。確かに、石には不思議な引力のようなものがある気がします。

最愛の人が遠くへ行ってしまうという経験を通して、自分がどう生きるかを決めなくてはいけない、そんな時に過去の思い出が支えになってくれるのだと、主人公たちは教えてくれました。

作者の作品は2作目でしたが、前回読んだのはプリズム・・今作は鉱物・・きっと地学系の知識があるのかも知れません。そして、今作にも登場してくる心の病の描写もまた、知らない世界を見た思いがします。

ところどころで、公務員試験の話題が書かれていますが、3年間もずっと勉強し続けるなんて、なかなかできることではないし、実際そんなに大変なイメージがあるのかも、なんて経験者は思うのでした。

気になるタイトルの結末は・・なるほどねー、と頷いてしまいました。


本棚に並ぶタイトル・・読んだ作品なら、タイトルから物語が思い出されるのもまたいいんですよね。これからも、いろんなタイトルに出会いたいです。infocusさん、作成ありがとうございます!

#推薦図書 #読書 #関口尚


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