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私の「わざ」をかける #書もつ

毎週木曜日には、読んだ本のことを書いています。

先日、子と一緒に近所にある児童館に遊びに行きました。その児童館には、図書室があって、子供向けの本が数多く並び、そこでボードゲームなどもできるスペースが併設されています。

子は某アニメの原作漫画を読みたいというので、僕は近くのベンチに座って棚を物色。絵本や、児童文学、学校の科目系の本、漫画など、さまざまなジャンルの本が並んでいる中で、この本を見つけ、思わず手にしました。

ことわざ絵本
五味太郎

この本をご存知の方はどのくらいいるでしょうか。きっと、ほとんどの方が知らないかも知れません。絵本作家の五味太郎が描いた、ことわざの本なのです。タイトルで分かりますね・・。

この作品、僕の”はじめての愛読書”だったのです。

小学校3年生だったと思いますが、この本の第一巻(紫色の本)を買ってもらいました。僕が当時、ことわざに興味を示しており、書店で見つけたのを買ってもらったのか、それとも父が買ってきてくれたのか覚えていませんが、とにかく手に入れました。

その内容に、驚きました。見開きで1つのことわざが紹介されていて、右側はことわざとその意味が、コミカルな絵で表現されています。古めかしい言葉も、絵になれば何を言っているのかわかって、そこに描いてある人物の表情からも、ことわざの意味を理解していました。

そして、見開きの左側には、現代語訳のような、そのことわざの続きのような、そんな「創作ことわざ」のような言葉と絵が載っていました。昔の現象を、現在に置き換えてみるとこんなことだよ・・という解釈が、ちょっとひねってあってとても楽しく読めたのです。

これを、自宅から学校に持っていって、休み時間に読んだり、ことわざ好きの友達と盛り上がっていたりしたので、やがてクラスで「ことわざの”もつ”」という存在になっていき、確か通知表の生活欄にも「ことわざといえば、もつ君」といった記載があったように思います。

何かのエピソードを聞いて「それは、急がば回れだったね・・」みたいに、日常会話にことわざを入れ込む、丸尾くん(出典:ちびまる子ちゃん)のような小学生でした。

改めて、パラパラと読み返すと、その量の多いこと。そして、何度も読んだのに、初めて見るようなことわざが多かったのも、意外でした。それぞれの巻に100ずつのことわざが掲載されているので、確かに多いのかも知れません。

改めて、筆者のあとがきを読んで、ことわざの意味するところを考えることになりました。作者は、「ことわざは、言葉のわざであり、生活の中から生まれてきた知恵である。」と語っていました。

「真実を語るわけでもないし、相反する内容のものもある、それはことわざが生活の色々な場面で生まれたからであり、また解釈は人ぞれぞれあっていい。」そんな考え方があって、見開きの左側の「創作ことわざ」に繋がって行ったのだと解説されていました。

子どもの頃は、”あとがき”など読んだ覚えがなく、大人になって読んでみたのでした。絵本作家としてことわざを現代に相応しいものにしようとした、作者の工夫や遊び心に、改めて気付かされました。それを、作者は「自分なりのわざをかけてみる」と表現していました。

ちょっと寂しかったのは、その本が2014年くらいに購入されているようなのですが、とても綺麗な状態で棚に収まっていたのです。ページのヨレもなく、側面の黒ずみもなく真っ白。・・そんなに読まれていないのでしょうか・・。

そんな発見をきっかけに、自宅の本棚にもことわざ絵本を常備したくなってきました。

調べてみたら、この2巻を出したあとに「創作ことわざ絵本」が出版されていました・・。やっぱりすごいな、遊び出したらとことんやるんですね。


サムネイルは、わざをかけると言ったら、この人です。シンプルで、投稿の内容と無関係なのも潔くて好きです。infocusさん、ありがとうございました。


#推薦図書 #ことわざ #五味太郎 #はじめての愛読書 #諺 #わざ

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