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イスラエル・パレスチナに行った時のこと3

私は石畳の上にいた。「エルサレム・ストーン」と呼ばれる、乳白色の石で織りなされる古都の只中に立っていた。乳白色という色のせいか、はたまたそこはキリスト教/ユダヤ教のエリアだったせいか、想像よりも清潔で、管理されている場所という印象を受け、どことなく拍子抜けだった。
ガイドのプロであるM氏と、その娘であるTと一緒に歩いていた。
連れてこられて来る場所ではないのだなと思った、あくまで満を辞して来たるべき時に来る場所なのだなと感じていた。

そのためとりたてて書くこともなく…この日に印象的だったことを下記に羅列。

旅の直前に開けた鼻のピアスが疼いて調子が悪かった。たまたまM氏の娘であるTがボディピアスやタトゥー好きだったので、馴染みのピアススタジオへ連れて行ってくれることに。そこには顔中にピアスをつけた、金髪で長髪の素敵な男性が働いており、「小さなサイズのピアスをつけてしまっているから、調子が悪くなっている。新しいものに変えなければいけない」とのことだった。化膿しているその穴に、古いものを外し新しいピアスを挿入するとは、想像するだけで身の毛もよだつ思いだが、彼の的確で素早い手捌き(古いものを抜いた瞬間に新しいものを入れる、隙間のないシームレスな動き)そして繰り返す「i know it hurts」という言葉を聞いているうちに、終わっていた。
異国でピアススタジオに行って鼻のピアスを変えてもらう、そのことに不思議な痛快さがあったことを覚えている。
結果そのピアスは、エジプトの紅海に落としてきてしまうのだが。

M氏の娘とエルサレムの旧市街に入った時に彼女が放った一言「どこもかしこも聖なるものばっか!」

その後みんなで、美味しいアラブ料理が食べられる隠れた名店へ。奥まった場所にあるので、観光客の姿は見かけない。実家の、母が作ってくれる食卓を思い出す家庭料理ばかりで、とても美味しかった。

迷路のような旧市街を、勝手知ったる足取りでずんずんと進んでいくM氏はかっこよく、その後1人でエルサレムを再訪した時には、あのレストランには辿り着けなかった。

旧市街を歩き回っていると、観光客を引き連れた、M氏の知り合いであるガイドの男性とすれ違った。話しかけるわけでもなく、すれ違う一瞬にささやかなハイタッチを交わす2人。振り向くこともせずお互いの時間に戻っていく刹那の交錯点。
娘のTと2人、「its so humble, Beautifle」と同意しあったことを覚えている。

帰りにはユダヤ人だけが入れる清潔な大型デパートに行き、ジェラート屋さんでアイスを食べた。私はピスタチオ。普通に遊園地にでも来たかのような、そんな気分でアイスまで食べてアブラハムホステルへ帰宅。

明日は北部のティベリアへと行ってみよう。イエスが漁師ペトロを引き連れるきっかけになった、ガリラヤ湖へと。ここから私の旅が始まる。



つづく

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