見出し画像

Avacusへの業務改善命令に思うこと

Avacus株式会社は12月24日、監督官庁である東海財務局より業務改善命令を受けたことを発表した。
※これによるサービス停止等はなく、現在も通常通り利用可能

3営業日前の17日には新株予約権によるクラウドファンディングが「FUNDINNO(ファンディーノ)」上で行われ、360人以上の投資家を集め大きな話題となっていたが、Avacusはこれを受け、24日中に「支援を辞退する」という形を選択した。そのため募集は取り下げとなり、クラウドファンディングは急転直下で白紙となった。

反響を呼びすぎたクラウドファンディング

FUNDINNOは日本初の株式投資型のクラウドファンディングで、厳正な審査に通過した将来有望な非上場のベンチャー企業に数万円から手軽に出資することができ、個人投資家を中心に絶大な人気を集めている。
17日19時、Avacus株式会社の新株予約権による受付が開始されるとわずか5分ほどで目標金額を達成。その後アクセス集中によるサーバーダウンが発生し10分ほど中断を挟んだが、30分後には上限額の60,120,000円へ到達した。
この記録は人気案件が多数並ぶ同プラットフォームの中でもかつてない勢いであったことから投資家層から大きな反響を得ることとなり、最終達成数362人のほか200人近いキャンセル待ちが殺到する超人気案件となった

画像1

これまでの努力が報われたかのように見えたが

まさかこの3営業日後に全面的に覆されることになるなんて知る由もないのだから、誰もが歓喜と祝福のムードに包まれていたのは言うまでもないことだ。
これまでAvacusがいかに熱量高く事業に取り組んできたか、暗号資産の潜在性を確信しインフラ開発に真摯に向き合い続けてきたか、彼らの並々ならぬ努力の積み重ねを知っているからこそ、沢山のユーザーがAvacusというサービスを支持し信頼を置いている。
そして今、Avacusの優れたサービスとプラットフォームの将来性、イノベーションの価値が広く認められ「ぜひ出資したい」と、600人近い投資家が手を挙げているのだから、これほど喜ばしいことはない。
改正資金決済法が成立してからこの1年半、Avacusはどんな状況にあろうと常に事業継続の道を模索し続け、あらゆる選択肢を想定し、抜かりない準備と挑戦を重ねてきた。

2019年6月
利用者保護という名目の下に規制を強化する【改正資金決済法】が成立
以降、カストディ業者の多くが撤退もしくは事業転換を余儀なくされた。
当時ほとんどの事業者が沈黙する中、規制に対応すべく新体制である「Avacus株式会社」を設立するなど準備を進めてきたAvacusは、法案成立翌日、他社に先駆ける形でいち早く立場と見解を明確にした。
この法案に対しポジティブな姿勢を表明したのは、記憶している限りではAvacus株式会社、ただ1社のみである。
参考資料:改正資金決済法成立後のAvacusの展望について

2019年12月
Avacusの機能をほぼ今まで通りオンチェーンで利用可能なシステム「Avacus Onchain」開発を公表

オンチェーンサービスでは、事業者は1つしか署名鍵を持たず単独では利用者の暗号資産を移転できないことから、カストディに該当しない=暗号資産交換業の認定を必要とせず事業継続が可能になるため、オンチェーン路線で規制回避は可能であると見込んでいる。

2020年4月
AvacusのShop機能と類似する他社サービスPurse.ioのクローズ告知(現在は体制を変更して営業続行)を発端として新規海外ユーザーが急激に増加

2020年5月
暗号資産交換業者への届出を完了

オンチェーンサービスの開発を継続しつつ、両軸で暗号資産交換業の申請をすすめる決断をし届出を完了、みなし業者となる。
審査対応のため7月15日以降は日本国内からの新規ユーザー登録を一時停止し現在も再開時期は未定となっている。

2020年6月
Shop・Ask・Pay・Bazaar主要4サービスを統合する4in1アプリをリリース

2020年12月
開発中の「Avacus Onchain」における特許を申請

参考資料:プレスリリース全文

Avacusと改正資金決済法

クリスマスイブ、突然の業務改善命令

今回の経緯は以下の通りとなる
12月17日(水)FUNDINNOにおいてクラウドファンディングを実施
12月22日(火)東海財務局より業務改善命令の予告を受ける
12月24日(木)東海財務局より業務改善命令を受ける

[内容]
ⅰ 経営管理態勢の構築
ⅱ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係るリスク管理態勢の構築

参照:当社に対する業務改善命令に関するお知らせ

とんだクリスマスプレゼントである。

画像4

過去の事例を見ても、業務改善命令そのものは遅かれ早かれ発出されるものであった可能性は高い。しかし、Avacusは5月に届出を行っており、そこから7か月も経過している。5月以降、経営や管理体制が特段大きく変わったわけでもないのに今このタイミングで、予告から発出までたったの1日で、しかもこの年末に、となるとどうしても急いで発出されたもののように思えてならないのだが考えすぎだろうか?

◎もし猶予のようなものがこれまであり発出されていなかったとすればなおさら何らかのきっかけがあったと考えるのが自然である ⇒3営業日前にクラファンで600人の投資家を集めたことが関係するのではないか?
現在までの経営・管理体制について包み隠さず情報を開示していたとAvacusが正式に発表していることから、資金調達についても当然報告していたと思われる ⇒予想外の何かが起こったのではないか?

これらの状況から推量するに、つまり【FUNDINNOでのクラウドファンディングが予想外の反響と多くの投資家を集めて目立ってしまった、今後万が一何かのトラブルがあったときみなし交換業者に対する監督責任を追及される可能性がないとは言えないため、急いで業務改善命令を発出した。】
真相はわからないし、飛躍があるかもしれない。
むしろ飛躍であってほしいくらいだ。なぜなら推論がもしも事実なら、酷すぎる話だからだ。若いベンチャー推進を掲げているはずのお上が、新しいビジネスを阻害しイノベーションの芽を摘む巨大で強力な悪そのものではないか。そんなことはないと信じたいが、こじつけとも言い切れない。

画像2

世界の大企業Amazonも、こんな自宅ガレージの一室から始まった

多くの有名企業の創業当初がそうであるように、Avacusも元々はまつかぶ一人で開業したFloor tracksとかいうレコード屋のような名前の小さな会社からスタートしている。そこから2年で急成長し、昨年に現在のAvacus株式会社体制となった。1年後の今では国内有数のブロックチェーン企業として注目されているが、体制としてはまだまだアーリーステージであり、管理監督体制が整いきっていないからこそ資金調達を急務とし、なんとか国が求める規制基準(詳しくは後述するが、既存の取引所向けを基準とした規制が一律に求められるので酷な試練である)をクリアしようと奮闘していた矢先に今回の業務改善命令を受け、つかんだ資金調達の機会を手放す羽目になってしまった。

Avacusが交換業を申請するワケ

では、Avacusはオンチェーンサービスでカストディ自体は回避できる見込みであるのに、あえてわざわざ交換業を取得しにいくのはなぜだろうか?
この申請のためにAvacusは収益機会損失を発生させている。現在新規ユーザー登録を停止しているため、ビットコインが過去最高値を更新しTwitterのトレンドになろうともAvacusへの新規ユーザー流入は0。ぴえん
そこまでして正面から交換業に向き合おうとする理由とは一体。

一つには、ユーザーの利便性を考慮している。
オンチェーンサービスではUX的に現行のオフチェーンには劣ってしまうと考えられる。それは「マルチシグにおける秘密鍵管理が手間」という問題に起因するもので、その取り扱いには少なからずリテラシーを要する
とはいえ誰でも簡単に使える現行のオフチェーンサービスを継続する代わりに、本人確認必須になってしまうことがユーザーの利便性としてどうなのかという議論もある。このへんは悩ましい問題である(個人的にはオンチェーンでいいと思っている)。
嘆かわしいことではあるが、この国の施策が暗号資産スタートアップと相性最悪であることなんか、それこそ火を見るより明らかなものだ。
Avacusがそれでも国内で挑戦するのは、日本という国のために他ならない。ブロックチェーン後進国となってしまったこの国において後進のスタートアップに道を開きたいのだといつか聞いたことがある。

メインサービスのコピー

暗号資産交換業は、これまで主に取引所などの暗号資産売買に必要とされていた認定制度で、それが2019年からほぼ全ての暗号資産事業者に必要となったという経緯がある。「暗号資産」と一言で言っても業態は様々なわけで、それぞれの業態で異なる技術設計のものに対し「取引所向けに偏った一律の規制」を課すことにも疑問はある。それでも、申請した以上は何が何でも取引所基準の規制ルールに応じなければいけない。業態もへったくれもない。「僕たちは取引所とは違う業態であり、取引所とは異なる技術設計なのですぐにできることとできないことが設計上どうしてもあります」「人員招致のためにもう少しだけ猶予をください」なんて言い訳は通用せんぞ小僧、というわけだ。この国のためにと正面から向き合っているAvacusが不憫すぎて泣けてくる。

Avacusを応援する方法

FUNDINNOの件は大変残念だったけれど(Avacus案件で得られるはずの手数料収入1200万が消えてしまったからFUNDINNOにとっても残念であると思うが)、現状でAvacusを応援する方法や手段がないわけではない。

Avacusを応援したい

① VACUSホルダーになって応援する

■独自トークンVACUSとは
Avacus株式会社が発行する独自トークンで、Avacusの決済通貨でもある。
Avacusを利用するユーザーが増え、取引量が拡大することにより、ホルダーへの利益還元が最大化されるようなインセンティブ設計をもっている。
また運営や開発メンバーもVACUSホルダーであることから、ホルダー視点を取り入れた価値向上への取り組みを行っている。
■VACUSの入手方法
現在は分散型取引所「RaizerDEX」で買い注文を出すか、Avacus内で入手することができる。
Avacusは手数料を安く済ませたい・手軽にほしい人には特にオススメ。
- AvacusShoppingでバイヤー(他の人のほしい物リストを代理購入)
- AvacusAskで仕事の対価として
- AvacusBazaarで物を売る
- すでにVACUSを持っている人にAvacusPayで送ってもらう

画像7

Raizerについてはこちらにまとめた
Raizerは、まつかぶも出資しておりAvacusと縁が深い取引所だ

②まつかぶにきいてみる

とりあえず直接まつかぶへDM等できいてください (https://twitter.com/matsukabu

さいごに

◆日本から世界的スタートアップが生まれない理由がわかった
今ではスタートアップという言葉も定着し一般化しているが、結局国も、世間もスタートアップを「育てる」気はほとんどないように見える。
特に暗号資産事業者に対してはなぜか異様に冷たい傾向にある。
どんなに革新的な技術とサービスで時代の先を行こうとも国がその気になれば今回のように有無を言わさず待ったなしで潰されるし、世間は世間で失敗を許容する文化がない。
この国で新しい技術がもたらすビジネスモデルを正面からまっとうにやろうとすると既存の業法や規制の枠組みに抵触し、阻害され、死ぬ思いをするんだ。
この国の未来は、これで本当にいいのだろうか。
これでは「海外のほうがビジネスとしてはよっぽどやりやすい」ということになっちゃう、それはいたって当たり前のことだ。優良ベンチャーや技術者の海外流出が深刻な問題となっているのも頷ける。
国が求める「正解」を新しいビジネスのスタートアップに押し付け、規制で雁字搦めにしてはその芽を潰す。逆説的ではあるが、国が求める正解像からは世界を変えるような革新的なイノベーションは生まれない気がしてきた。
もしAvacusが最初からその正解に当てはまるような企業だったら、おそらく今日までの急成長もなかったとも思う。

そして国はいったい誰を守っているんだろう。
利用者保護を名目とする法や規制であるはずなのに、Avacusのように利用者や投資家から圧倒的に支持されているサービスや文化を阻害し、その芽をまさに潰そうとしているではないか。利用者保護を盾にしないでいただきたい。

◆結局はAvacusが選ぶ道を応援したい
とは並べたものの、私はユーザーとしてホルダーとしてあるいは友人として、この3年間Avacusを応援してきて彼らの成功を心から願っている。
彼らの思想や哲学は知っているつもりだから、なぜ交換業申請をするのかも理解しているつもりだし、今後もし別の方向に舵をきることがあっても、彼らの決断であるならそれを支持する。
サービスについては、ローンチからずっと利用させてもらっていてほぼ毎日Avacusのアプリを開く。暗号資産で仕事をしたり、ショッピングをしたり、Avacusはなくなってほしくない「生活のサービス」である。
これを読んでいるあなたがAvacusをつかったことがなければ、新規ユーザー登録が再開された暁には、ぜひ生活に暗号資産を取り入れてみてほしい。
最後に、全然関係ない話になるが、いつか人間が火星に移住する未来になったら、そこで使われるお金はビットコインや暗号資産のようなデジタルマネーなんだろうなあと思う。そんなことを考えながらAvacusを開くと、未来のライフスタイルを一足早くお試しで体験しているような気分になって暗号資産体験をより一層楽しめるのでオススメである。
最後までお読みいただきありがとうございました。

スクリーンショット 2020-12-10 232454

◇リンク

Avacus株式会社の概要はこちら

Avacusってどんな会社?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?