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海を鎮める

海にも様々な歴史があるんだなぁと思い至ったのは、隠岐島の海と出逢った時だった。
流人の島の1つである隠岐島。
その海の前に立ち、その歴史に想いを馳せた時、これまで海が飲み込んできた悲しみが胸に迫ってきた。
「この海は、どんな想いで受け止めてきたのだろう」
眼の前に広がる、吸い込まれそうになるほどの深い深い美しい青色は、波音でしか答えてはくれなない。
だから、海が体験し見てきた歴史に想いを馳せて、その波音に耳を傾ける。

ここで映画を撮ろうと動き出した時、その歴史を学び、この海も癒やし、鎮めようと決めた。
実際の撮影では、海ロケ一日目は海が荒れた。海からの風は強く、空は曇り、鎮魂を喜んでいるのか、抵抗しているのか判らなかった。
でも、私は海と対峙した。
「どうか鎮まり、行くべき場所へ」

海ロケ二日目は、燦々と降り注ぐ太陽に照らされ、海は穏やかに輝くサファイア色をしていた。
そんな美しさをたたえたロケーションで、私はこの映画で伝えたかったメッセージの独白シーンを撮った。

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