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ヨーロッパを旅した100の感想:27.日本人には理解しがたい北アイルランド問題

正直な話をしてしまうと、10カ国5ヶ月間旅した中で一番衝撃的な内容だったように思います。日本にいて宗教戦争を考えることは全くないからです。

ましてや、宗教戦争と言われて思い浮かぶのはキリスト教と仏教のような違う宗教間での意見の食い違いや主張の違いのように感じませんか。しかし、この北アイルランドでかつて起こった宗教戦争は同じキリスト教である、いわゆるカトリックとプロテストタント間で起こったことなんですよ。

北アイルランド問題とは

あまり細かく話してしまうとイギリスとアイルランドの歴史を全て語らなければならなくなるので簡単に。

昔からイギリスという国はプロテスタントの国です。そして、アイルランドはカトリックの国でした。しかし、アイルランドの北側からイギリス人が入ってきてほとんどの人がカトリックからプロテスタントになってしまいました。

なので、一度はアイルランドはイギリス領になっています。今だにアイルランドをイギリスの一部の国だと間違っているか違いますが、それはとても危険な勘違いなのでいますぐ正した方がいいです。失礼では済まなくなる恐れもあります。

1922年にはアイルランドがイギリスと距離を置くこととなりました。プロテスタントが多い島の北側の人たちは、イギリスとして残る選択をしたので今のアイルランド島の中に北アイルランドがイギリス領として残っているわけです。

そしてこれが全てのきっかけです。

実際には1998年のほんの20年前にベルファスト合意として北アイルランドは正式にイギリスの一部になっています。

この北アイルランド問題は1922年から戦争中も戦後もずっとイギリスとアイルランド間で争い続けてきた問題です。これによって大勢の死者や悲しい出来事が起こっています。

そして、そのときに北アイルランドの方達はイギリス人になるかアイルランド人になるかの権利をもらいました。なので、今の北アイルランド人はある程度の年齢のある人ならばパスポートを二つ持っています。

イギリスパスポートとアイルランドパスポートですね。

今では北アイルランドからアイルランドへ入るときに形式上は地gハウ国であるはずなのにパスポートの提示は必要ありません。要するに国境が曖昧なんです。

そうすることが、北アイルランド問題を鎮火させる一番いい方法だったからです。

IRS(アイルランド共和軍)の存在

私は今回の旅で北アイルランドにも行ったのですが、行った際にたくさんのイギリス人の友達から「大丈夫か?」「気をつけなければいけないよ!」という心配をされました。

正直、なぜそこまで心配されているのかその時は分からなかったのですが後から聞いて少しヒヤリとしたのを覚えています。

IRSという、長年にわたりイギリスに対してアイルランド独立闘争を行ってきた、武装集団が今だにテロや襲撃を行うことがあるからだそうです。この組織は主に北アイルランドやアイルランド国内で活動しているテロ組織なのですが20年前のベルファスト合意の時はイングランド国内でも大きく反乱を起こしていたようです。

IRSで画像を調べてもらえればわかると思いますが、イングランド内の比較的大きな都市であるマンチェスターなどが廃墟じみてるんです。この20年前でさえも、大勢の死者や悲しみがこの2国間に漂っていたのは、想像に固くありませんね。

ブレグジットが事態をややこしくしている

そんな中、なぜ心配されたのかというとブレグジット(イギリスのEU離脱)が行われるか否かが不確定な時期に私が北アイルランドに行ってしまったからです。

何があってもおかしくない状況だからと友達から言われたのを覚えています。

なぜなら、アイルランドもEU加盟国ですそしてブレグジットによってイギリスはEUから離脱しようとしている。ということはアイルランドと北アイルランドの国境を曖昧にはしておけないんです。形式上。

しかし、歴史的にも数々の戦争やテロに苦しんできた人たちからしたら国境を明確にするということが命に関わるわけです。もしかしたら、この問題をめぐって再びIRSの過激派が出てきてテロが増えないとも言い切れないわけです。

とても繊細で悲しい問題だと思います。

北アイルランドの人たちは両極端

何人かの北アイルランド人に会ってお話したのですが、その時に「あなたは自分をイギリス人だと思っていますか?アイルランド人だと思っていますか
?」と毎回質問をしてしまっていました。

とても失礼で繊細な質問だったことは百も承知です。ただ、バカなふりをしてでもこの話に足を突っ込んでいかないと、理解できない問題に感じたんです。

その時は半分の確率でしたね。半分は完全に自分はアイリッシュだといい、半分はイギリス人だと言っていました。宗教的なものがほとんど理由だと思うので、もうこれは家族間の問題でもあると思います。

ベルファストを分断する「平和の壁」

北アイルランドの首都であるベルファストには、「平和の壁」と言うものがあります。一見するとベルリンの壁に近いものを感じますね。

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これは西ベルファストにあるもので、プロテスタントが住む地区ととカトリックが住むちくを隔てている物理的な壁です。

この平和の壁にはちゃんとゲートがあり、それぞれを行ったり来たりすることは可能だそうです。私は見学のつもりで壁を見にきていたら、そこに住んでいる人たちがたくさん声をかけてくれて、壁がどこまで続いているかや壁が出来た歴史について教えてくれました。

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今だにこの壁を挟んで小競り合いは続いているそうです。なんだか、日本にいたら絶対に知り得ないものだなとその日一日気分が少し滅入ってしまいましたね。

イギリスが好きで、イギリスのドラマや映画や歴史だって軽く知っているつもりでいましたがまだまだ生きた歴史を知らないものなのだなと。

イングランドの人たちは、攻撃される恐れがあるから北アイルランドに行くことはまずないと言っていて少し複雑になりました。

確かに日本だって昔は日蓮宗や一向宗たちが戦争を起こしたりいざこざを起こしたりしていたかもしれませんが、あくまで過去のことですからね。このイギリスに至ってはまだ現在進行形で続く、何千人と死んでしまうかもしれない争いの火種が側にあると言うのは怖いように思いました。

少しずつ受け入れていけたら

少しずつ、歴史を垣間見て寄り添って一緒に考えていけるように慣れればいいですよね。言葉で言うのは簡単ですが、きっと根っこの部分で交わらないものがあるのも傍目に見ていてわかります。

余談ですがこの問題を知って、エドシーランのナンシーマリガンを聞くとめちゃくちゃ沁みました。エドシーランのお祖父様とお祖母様の馴れ初めを歌った歌なのですが、その歌詞の中には「たとえお互いの国の宗教が違っても王が違っても」と言うセリフが出てくるんです。

第二次世界大戦中なので、がっつり宗教戦争をしている時です。なのに、2人は惹かれあって全てを乗り越えて幸せになっているってものすごく素敵ですよね。

一応曲を貼っておきますね。結構グッとくると思います。笑


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