気付くと周りに人はなく、この楽園のような部屋に一人残されていた。
握りしめていたはずの100円玉は私の手の温もりなんか忘れ、離れ離れで床の絨毯と同化している。
束の間蛍光灯が弾けるように光り、さっきまで嬉々として回していたハンドルが一斉に開いた。
蕩けるような白濁の瞳。
一つ一つが別の脳みそを持つようにバラバラと動く。
そうして何か意識を取り戻したのか、今度は土台がゆっくりと動き出していた。
あー、うんうん、そう、ムカデみたいにね、そうやって進むんだー
なんて呑気な感想を抱いた刹那、自分の後ろにも同様の筐体があることを思い出す。
照準が合うってこういうことか。
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#短編小説 #ホラー