図書館で、仕事を
母と久しぶりに出かけた。公園とそこに続く、ゆるい山道。
そこを、ゆっくりと、散歩した。
涼しい風、あたたかい太陽。清々しい気持ちになった。赤トンボも、いっぱい飛んでいる。
心地いい風に吹かれて、しばらく、歩いた。
その時、母が言った。
「図書館で働いてみたら」
唐突過ぎて、ぼく自身のことだとは、思わなかった。
ぼくは、いま仕事をしていない。
来年の3月まで、自宅療養するつもりでいた。
だから、それまでのじかん、楽しいことに、じかんをつかおう、と思っていた。
母に言われて、図書館で働く、か、と考えてみた。
驚くほど、しっくりくる。
本は好きだけれど、図書館で働くなんて、思ってもみなかった。
けれど、なぜか、腑に落ちた。
母にどうして、図書館で働くことを進めるのか、と聞いてみた。
そしたら、ただ、なんとなく、と答えが返ってきた。
ただなんとなく。
母も、気づいていたら、口にしていたみたいだった。
これから先、図書館で働くかは、わからない。
けれど、挑戦してみようかな、なんて思う。
勤められるかも、知らないけれど。
その前に、一度、カフェで働いてみたい、と思っている。
長く続けなくてもいい。体験してみたいだけ。
その日は、以前に行った、森の中の美術館で、ランチを食べた。
ピザを頼んだ。メニューとは、明らかに違うもので、ちょっと残念だったけれど、美味しかったから、良しとしよう。
心地いい空間には、違いないのだから。
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