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バイト前

夢の中でコップ一杯の水を飲んだ。
喉を流れていくそれは、お腹の辺りでじんわりと熱を持ったような気がした。
地を走るタイヤの音がした。目が覚めた。
カーテンが揺れていて、フローリングに光が溜まっていた。私は立ちあがろうと思った。まず足先を動かして、今日も生きている事を実感した。それからお腹をさすった。少し暖かい。
目を擦ったら、天井の木目がくっきりと見えて、ちょっと笑えた。
背中が汗で濡れて気持ち悪い。
私は身体のいたるところに力を入れてベットから脚を出して立ち上がった。
くるくると頭が回る感覚がある。
光が蜃気楼のように見えた。

縁側に出た。
十一月の青空は燻んでいるようで少しだけ不安になる。昼になったので静かな風が私の住む街を吹き抜けていく。栄えた街ではないけれど、この街が好きだと思った。時折電車の音がする。それだけが唯一外から聞こえる大きいな音で、それとは別に私の耳元では豊かな音楽が流れている。
珈琲を一杯飲んでぼんやりとした。
時間だけが過ぎていく、今年も。
私はなにも話すことがない。

一ヶ月前にバイトを始めた。
それを今日も続けていく。

縁側に出て、犬を散歩する人の数が増えてきた頃、私は部屋に戻った。街に立った太陽が倒れ始めたからだ。そうなるともうバイトの時間が近づいてきて、私はやっぱりソワソワしてなにも手につかなくなる。

毎日マックポテト食べたいです