ももたろうR

主に映画についてのノートです。

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最近の記事

映画「君たちはどう生きるか」感想 〜ひと夏の夜の夢の如し〜

※ネタバレありの感想です。 1.宮崎駿監督の「晩年の仕事<レイト・ワーク>」宮崎駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」を見た。 私は、ジブリの良きファンとは言えないが、宮崎駿監督の作品は一通りは見ていて、一番好きなのは、鋭敏な感覚が研ぎ澄まされ過ぎている傑作「となりのトトロ」だが、自覚的に邪道なファンとして、最近の「崖の上のポニョ」や「風立ちぬ」が結構好きだ。最近の宮崎駿監督作品には、黒澤明の後期の作品(「夢」「乱」「まあだだよ」など)を見ているような面白さがあり(褒めてる

    • 映画「チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ」短評

      2022年。98分。ディズニープラスにて。 ※※以下ネタバレあり※※ この作品には、チップとデール以外にもたくさんのキャラクターが登場する。それもディズニーに限らず、多岐にわたる。往年の「ロジャーラビット」「ルーニー・テューンズ」や、最近だとスピルバーグの「レディプレイヤーワン」などのように、いろいろな作品のキャラクターや内容を縦横無尽に引用しつつ、実写とアニメーションとCGが見事に融合されている。 ギャグも、かなり冴えている。 アグリーソニックの不気味な歯、目の焦点の

      • 映画「アンフレンデッド」短評

        2015年公開、83分、アメリカのホラー映画。 ※※以下ネタバレありの感想です。※※ ①感想YouTubeで岡田斗司夫さんがオススメしていたので見てみた。 「Search/サーチ」のホラー版のようなPC画面で展開していく趣きの映画だが、「Search/サーチ」より、こちらが先らしい。 PCを使っていて、色々なアプリケーションが閉じれなくなる恐怖感は、ウイルス感染によく似ている。 ビデオチャット画面による恐怖映像は、今のご時世では違和感なく受け入れられるし、YouTub

        • 映画「侍」感想 ~武士の時代の終わり~

          ※映画「侍」のネタバレがありますので、ご注意ください。 1.映画「侍」概要と周辺の話「侍」は、岡本喜八監督、橋本忍脚本、三船敏郎主演の大作時代劇映画で、現在は「U-NEXT」で配信中だ。(2022年12月現在) 岡本喜八監督は、私の好きな映画監督の一人で、個人的にはまだ全作品を見ているわけないけども、「日本のいちばん長い日」は私が見た日本映画の中でオールタイムベストの1本だと思っている。ほかにも「独立愚連隊」「血と砂」「殺人狂時代」「激動の昭和史 沖縄決戦」「大誘拐 RA

        映画「君たちはどう生きるか」感想 〜ひと夏の夜の夢の如し〜

          映画「パーム・スプリングス」感想 ~古今東西タイムループものについて~

          ※「パーム・スプリングス」含めた、複数の映画のネタバレがありますので、ご注意ください。 1.タイムループ映画の最新バージョン映画「パーム・スプリングス」は、友人の結婚式場を抜け出して、ふと奇妙な洞窟に立ち入ったことから、ある1日をループするようになってしまう男女二人の「タイムループ映画」の最新バージョンだ。 この映画の新しさは、ループしているのが自分だけではない、というところだろう。一緒にループし続けくれる女性がいるのだから、孤独にループし続ける世界とは、まったく異なる。

          映画「パーム・スプリングス」感想 ~古今東西タイムループものについて~

          映画「メリー・ポピンズ リターンズ」感想 ~銀行家の悲しみはどこへ~

          ※ネタバレがありますので、ご注意ください。 1.あの名作の続編、その私的な思い出あの名作の続編が2018年に登場するとは思わなかった。 オリジナルのディズニー映画「メリー・ポピンズ」は、私にとって特別に思い入れの強い映画だ。 初めて見たのは中学1年生のとき。 その頃の私は「勉強を完璧にしなければならない、そして良い人をやらねばならない」という強迫観念に取りつかれ、精神的に参っていた。成績は良かったが、無理に優等生ぶっていたので、徐々に小学生時代の友達も離れていき、孤立して

          映画「メリー・ポピンズ リターンズ」感想 ~銀行家の悲しみはどこへ~

          映画「主戦場」感想 ~自尊心の問題は収集がつかない~

          ※ネタバレがありますので未見の方はご注意下さい。 映画「主戦場」は、従軍慰安婦問題をめぐる議論のポイントを、登場人物たちのインタビューをもとに整理しつつ、その裏に隠された思想を伝えてくれる、有意義かつスリリングな映画だった。 ラスボス「加瀬英明氏」なんといっても、この映画を見て誰もが気になるのは、後半にラスボスの如く登場する、日本会議の中心人物のひとり、「加瀬英明氏」だ。 インタビューでの彼の発言はいきなりぶっとんでいる。 まず「日本が戦争に勝ったから黒人が公民権を得た

          映画「主戦場」感想 ~自尊心の問題は収集がつかない~

          映画「TENET」感想 ~ニールとしずかちゃん、時間軸の違う自分の仕業~

          ※以下、初見時の「TENET」の感想です。ネタバレご注意ください。 ①クリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET」クリストファー・ノーラン監督は、名前でお客さんを呼べる監督としては、おそらくスピルバーグやデヴィッド・フィンチャーとならんで、現代トップクラスの監督だろう。私もノーラン監督の作品は、「インセプション」以来、封切りの日に見るようにしている。 今年は3月に「ミッドサマー」を見て以来、映画館には行けていなかったが、これは見なくてはならないと久々の映画館へ。

          映画「TENET」感想 ~ニールとしずかちゃん、時間軸の違う自分の仕業~

          ドラマ「ワンダヴィジョン」感想 ~枯れたシットコムの水平思考~

          ※ネタバレがあります。ご注意下さい。「ワンダヴィジョン」を6話まで見て、書いております。 ①楽しく不穏なシットコム昨年末に「マンダロリアン」を見るために契約したディズニープラスで、ふとしたことから「ワンダヴィジョン」を見始めた。 予告を見て、どうやらシットコム+SFという、稀に見る融合をやろうとしていることを知った。 これまでマーベル作品には正直に言ってまったく付いていけず、「アベンジャーズ 」1本を見ただけの私だったが、この「ワンダヴィジョン」は本当に大当たりだった。

          ドラマ「ワンダヴィジョン」感想 ~枯れたシットコムの水平思考~