CINEMA TALK VOL.5『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』について

映画には、基礎知識がなくても楽しめる作品と、ある知識を持って観るとより楽しめる作品と、その知識がないとさっぱり意味がわからない作品とがある。

2019年、ハリウッドの鬼才クエンティン・タランティーノが発表した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、ある特定の事件について知らなければ全く意味がわからないという種類の作品だ。この映画を観た友人から、「意味が全くわからない」と解説を求められ、シャロン・テート事件について知っているかたずねてみた。すると知らないとのこと。映画業界では有名すぎるこの不幸な事件について、知らなくても困ることはないし、知らない方がむしろ平和に生きていけることだろう。だが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を楽しみたいのなら、知っておくべきだ。知っていれば、友人にとってラスト13分は全く意味の違うものになっていたはずなのだ。

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