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夫が見つめる10年選手のTシャツ


なんか、視線を感じる。


ふと見ると
そこには洗濯を畳んでいる夫がいた。


手にしたTシャツを見ながら、心なしかニヤついている。

私「え、なに?」と聞くと
夫は「いやー、このTシャツ本当に長いこと着てるよね。」と。


それはそうよ。
だってそのTシャツは、息子が生まれる前、夫に買ってもらったもの。


つまり、10年以上着ているんだから

私は、そのTシャツをパジャマとして10年以上も着ているのだ。改めて思うと、その歴の長さに驚く。
別に特別なTシャツなわけではない。UNIQLOの花柄VネックTシャツだ。

もう、来年には着れないかなー。なんて思いながら、気がついたらまた着てる。
そして、洗濯を畳む度に夫はそのTシャツを見つめニヤついている。

私は、物持ちがいい方では全くないのだが、パジャマだけはなぜか、捨てられない。同じものを着続けてしまう癖がある。
なぜだろうか。

パジャマだから、なんでもいいやってっていう考えが根底にあるのは間違いないのだが、着心地の良さとか着慣れた感じが捨てようという気を起こさせない。
だからと言って、私が持つ全てのTシャツが10年選手なわけではない。


ワンシーズン着て、毛玉がついたり薄く擦れてきたりするものは速攻捨てる。なんか、タグが気になるな。というものもワンシーズンで捨てている。

しかしながら、稀に、安くても擦り切れることなく着続けられるTシャツに出会うことがある。


これはまさに運命なのかもしれない。

だって、もうこのTシャツには出会えないのだから。

本日のパジャマとして無意識に手に取っているこのTシャツ。
これまでの歴史を一緒に歩んできたこのTシャツ。
妊娠中おなかが大きくなるにつれてピチピチになったこのTシャツ。
生まれたばかりのこどもをようやく寝かしつけて、一緒に寝落ちしてしまい、夫に隠し撮りされたときに着ていたこのTシャツ。

もう愛着が湧いて仕方ないのよ。

それでも、きっと夫やこどもは思っているだろう。「ママ、いつまでその服着るの?」と。

私にもわからないよ。
でも、いつかさよならする日が来ると思う。
さよならしなければならない時がやってくる。
そのときには、長い間ありがとうって言って手放したい。


でもね、まだしばらくは
夫のニヤニヤする視線を感じながらこのTシャツにお世話になりたいと思う。



※汚ねぇな。早く捨てろ
と思う方がいたら申し訳ないような話です。




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