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水の國の管理者③ (夢の創作物語)
先ほどよりも、視界はクリアになってきた。明るさはグッと落ちたようにも思うが、その分、水の透明度は上がっていたので、さほど気にならなかった。
見上げると、上部の水面が何層にも重なっているようで、ここのセキュリティレベルはかなり厳重であることは間違いなかった。
しかし広い造りだな…わたしは、何もないが、壁の不思議な窪みや、あちこちにある奇妙な高低に目をやりながらも、小さい生命体の後を歩いていた。
しかし、それは突然だった。
ガボガボッッッ………‼
小さい生命体が、のけ反るような姿勢で白目をむいた。小さな気泡たちがブワッと口から吐き出され、チラチラと浮上していった。
一瞬の出来事に、まさか外部攻撃はありえないと判断したが、小さな生命体の身体がゆっくりとわたしの方へ倒れこむのを支えるのと同時に、対処方法は緊急浮上しか存在しないとその身体を引っ張った。
わたしは、勢いよく、床を蹴った。
しかし、その勢いは床に引き戻される形で、わたしの両肩にズシンとのしかかった。
どういうワケか、この小さい生命体は「縛られて」いた。
もちろんみえないナニカに。ユラユラと苦しそうな表情でわたしを見つめていた。
やはり、攻撃の一種かと、途端に呼吸が乱れ始め、背後がやたらと気になった。
小さい生命体は、左の手を前方に向けた。その方角だ…と思念が頭に入り込み、わたしは、動揺しながらも、その手を握りしめた。
『必ず助けます。大丈夫です。』
小さい生命体の、歪んだ表情がほんの少しだけ和らいだような、そんな気がした。
わたしは、左の前方の暗がりを凝視した。その精度を限界まで引き上げた。多少時間はかかるものの、たしかに、「ナニカ」がいる気配を捕らえた。
そのとき、フッと小さい生命体の縛りがほどけた。ゆったり漂いはじめた身体を手繰り寄せ、わたしは、その気配へ向かうために慎重になった。
つづく
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