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バレンシアで久々の大規模デモ

今日は日曜日にも関わらず、ちょっと買い物する用事があってお昼頃に外出したところ、何やらスペイン国旗を持った人がうじゃうじゃしている場面に遭遇。あ、なるほどバレンシアでもデモをやっているのね、とすぐに理解。

このデモというのは、現在暫定で首相を務める中道左派PSOE(社会労働党)党首のPedro Sánchezに対する抗議デモのことで、右派のPP(国民党)と極右のVOXの主導で行われたもの。では、なぜこういったデモが起きているのか。

そもそもの始まりは今年行われたスペイン総選挙に遡ります。二大政党である中道左派のPSOEと右派のPPだけで見ると今回はPPが大きく票を伸ばしたのですが過半数には届かず。また、PSOE側も現在連立で政権を握っている強硬左派のSUMARと合わせても過半数に届かず。PPとしては極右のVOXとは距離を取りたいものの、仮に合わせたとしても過半数に届かない、という状況。つまり、右派も左派もまさに拮抗状態のまま現在に至るのです。

そこで、Pedro Sánchezの首相続投を掲げるPSOE陣営は少数政党の議席を獲得すべく、カタルーニャの独立派Juntsの支持獲得に動いていました。そして、このJuntsの出した支持の条件というのが、現在国家反逆罪や扇動罪で有罪となっているCarles Puigdemont(*)をはじめとするカタルーニャ独立運動の主導者たちへの恩赦であり、両者の間で交渉が進んでいたのです。

* 2017年に行われたカタルーニャの独立を問う住民投票の結果を受け独立宣言をしたものの、その後国家反逆罪や扇動罪等で中央政府から訴追され(PP政権時)、2019年に司法裁判で有罪判決に(こちらはPSOE政権時)。現在も当時の閣僚たちと共にベルギーに事実上亡命中。ちなみに一部のメンバーは2021年に恩赦されている。

このニュースはここ数週間ガザのニュースを差し置いてトップ記事になっており、ここ1週間くらいはマドリードのPSOE本部前で過激な抗議活動が行われていました(こちらは主に極右のVOX主導で行われていた模様。映像を見ると血気盛んな若い男子たちばかりで、ちょっとやばい感じがした。ちなみにやらせ疑惑もアリ)。

そうこうしている間、11月9日にPSOEとJunts両者の間で合意、というニュースが。これにより、当初から支持に前向きだったPNV(バスク民族党)の支持も取り付けることができ、左派陣営としては有利な風向きとなったわけです。これには極右のVOXはもとより、右派のPPも猛反対!ということで今日の全国的なデモにつながったのです。

PPの支持層が多い首都マドリードでは8万人の人が(PPの発表では50万人!?)、私が住むバレンシアでも2万4千人(PPの発表では5万人!?)がこの抗議デモに参加したとのこと。

PPの党首のAlberto Núñez Feijóoは、「民主主義の征服者だ」「私たちがした投票とは逆のことが起きている」「(再)選挙をやるまで私たちは黙らない」等々、マドリードのデモの支持者を前に怒りを爆発させていました。

ちなみに、トップの写真はうちの近所で行われていたデモ行進で、写真ではそれほどでもない感じがしますが、実際はかなりの数の人々が長い行列をなしていましたよ。私の主観では、男女比率、年代比率も偏りがないように見えました。あと気になったのが、なぜかスペイン国旗に混じってEUの旗も結構な数見かけました。なんでだろう?と思って調べてみたら、極右のデモと差別化するためにPP陣営が配ったものらしい。私的にはちょっと意味がわかりませんでしたが。。。

さて、今後スペインはどうなっていくのでしょうか。引き続きウォッチしていきたいと思います。



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