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バレンシアの結果も政治絡みなのか?

明日5月11日から、スペイン全体の50%ほどのエリアで外出制限緩和のフェーズ1に入ります。ここにはバレンシア州の一部のエリアも含まれており、テリトリーの面積としては50%ぐらい、人口で言うと30%ぐらいとなりますが、バレンシア市内はフェーズ0に残留となっております。昨日、この事実に雄叫びを上げた記事がこちら↓

記事に記した私の感想は多くの人々が持っただけではなく、バレンシア州の首相Ximo Puigも同様で、早速政府に再度の見直しを要求しました。バレンシアの医療体制は条件を十分にクリアしており、優等生のお墨付きももらっていたわけですから当然の要求と言えるでしょう。

今日の定例会見においても、当然のごとくバレンシアの件に関する質問がされたのですが、そこでのFernando Simónの返答は「感染に関連する要因」としており、「医療体制は素晴らしい状況を維持しているけれども、慎重にならなければならない」というものでした。いつもわかりやすく説明してくれるおいちゃんなのですが、今日のはなんだかしっくりこないなあ、というのが正直な感想。

私の仕事の同僚のグループチャットでもこの件に関して話題になったのですが、一同今回の結果に驚きを示していたものの、それぞれの意見があったのも興味深い。「今回の結果には納得がいかない」「政治的な意図があるのでは?」というものから「スペイン第3の都市だから仕方ないのかも」「バレンシア人は信用されていないんじゃない?」「実際ちゃんと守って行動していない人もいっぱいいるしね」「検査の数も十分じゃないし、仕方ないと思うわ」というものまで様々で、若干ディベート状態になっていました。

その中で興味深い情報もありました。ある同僚の旦那さんは看護師としてバレンシアの病院で働いているのですが、新たに雇用された人たちが何もすることがなくてどうしていいかわからない、という状況だといいます。これは病院の人員が余っている、つまり病院のキャパシティに余裕があることの裏付けになる、いわば現場の生の声。こういう情報は大切ですよね。

で、結局、なぜバレンシアがフェーズ1に移行できなかったのかという理由がフワフワしたままだったのでいろいろリサーチをしていたのですが、La Vanguardiaのニュースサイトの記事で、やはり政治的な問題が絡んでいると指摘するものが出てきました。

スペインの現政権の与党はPSOE (Partido Socialista Obrero Español 社会労働党) とPODEMOSの連立左派なのですが、野党のPP (Partido Popular 国民党)やVOXといった右派も相当数の議席を持っており、そこにカタルーニャの独立派やバスクの独立派政党が独自の立場を貫く形で存在しているので、状況によってはパワーバランスが揺らぎやすいのが実態です。

で、何が言いたいのかというと、バレンシア州の自治権はスペイン政権同様PSOEが握っているのですが、PPが自治権を握るマドリード州の顔を立てる(あるいは黙らせる)ために、(一部のエリアを除く)バレンシア州のフェーズ1への移行を認めなかったのでは?というもの。つまり、身内の犠牲というやつですね。で、バレンシアよりも感染被害の大きかったバスクに関しては、先日の非常事態延長の決議でバスクの独立派政党PNV (Partido Nacionalista Vasco バスク国民党)が賛成票を投じてくれたことへの配慮からフェーズ1への移行を認めたのでは?という指摘がされていました。

この話が事実かどうかもわかりませんし、事実であると信じたくもないけれど、今回のなんとも矛盾を孕んだ結果を説明するには妙に説得力があるのも否めない。。。

とはいえ、検査数がまだまだ十分ではない中、バレンシアが(一応)大都市であり、潜在的感染者の存在も未知数であることを考慮すれば、これで良かったのかも、と思っているところです。先にフェーズ1に移行したエリアの状況がどうなっていくのかを見ることは、どのように行動するべきか考える材料にもなるわけで、結果的に案外悪くないかもしれません。

それに、Fernando Simónに関しては、どう考えても政治的に動くような人には見えないので、彼の判断を信じることとしましょう(個人的にこのおいちゃんのことは気に入っている↓)。

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* 冒頭の写真は、自宅近くのカテドラルの前に広がるPlaza de la Virgenという広場の光景。午後17時頃だったと思いますが、ちょうど良い具合にソーシャルディスタンスが確保できる状態で子供たちが遊んでいました。今のところ、私の自宅近辺は特にトラブルもなく平和です。

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