「メールアドレス変えました」を懐かしむ
みんながスマホを持つようになって(というかLINEが普及して)、「メールアドレス変えました」のお知らせを受け取ることがなくなった。
そもそもあまり個人のメールを見ないし、見たとしてもアカウント登録とかに使っちゃってるから、面倒くさくてアドレスは買えないだろう。
*
*
中高生の頃、「メアド変えました」は、恋愛のお助けツールだった。
送る方も送られる方も、好きな人にさりげなくメールすることができる。だいたい「了解です」とか返ってくるから「なんとかくん久しぶりだね! クラス離れちゃったけど元気?」とまたまた自然な流れでラリーを続けられる。
*
*
トーク画面という「集合場所」にお互いがやってきて、ぽんぽんとメッセージを投げ込んでいくのがLINEだとすると
メールは「相手の陣地」まで歩いていき、受け取ってくれるかもわからないまま、手紙をそっと置いていくようなイメージがある。
*
*
だから、既読か未読か以外は比較的モヤる要素が少ないLINEと違って(個人の見解です)
わざわざ返事をもらうための工夫や気遣いが生じ、それに伴って、モヤモヤとヤキモキの震源地も増える。
デコメ絵文字をサイトからとってきて、文面をかわいく仕上げたりとか、件名を推敲したりとか、
知らない間に相手のメアドが変わってて、メールが不達だと傷ついたりとか、返事くれるかなと、何度もメールセンターに問い合わせたりとか。
メッセージそのものより、周辺のあれこれに、いちいち悩んだ思い出のほうが、胸がきゅっとする。
*
*
アナログなほうが手間がかかるぶん、どうしても、記憶に残るエピソードが増える。インスタントなツールも便利で大好きだけど、不便さを愛するのも好きだった。
……というようなことをもう、書く年齢なのか。10代の頃に、まわりの大人たちが、カセットテープを懐かしみ、ポケベルを懐かしみ、写ルンですを懐かしんでいた気持ちがわかってきてしまった。
きっと、順番なんだろうなあ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?