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『(500)日のサマー』運命の恋なんてない話

#夏に見たい映画

「あの映画を見る前の自分に戻って、もう一度初めての気もちを味わいたい」と思う作品がある。

私は『(500)日のサマー』を文字通り100回くらい見ているけど、今だに本気で、これからサマーに出会う人がうらやましい。
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*画像 Fox Searchlight より

すごくシンプルに言うと、20代くらいの男女が職場で出会って、いろいろあって、別れて、次の相手を見つけるまでの500日間を描いた映画である。

ボーイミーツガール。あまりにも普遍的なのストーリーがチクチクと胸に刺さるのは、うっすら気づいていた「運命の恋なんて、ない」という事実を、自分ごととして痛感してしまうからだと思う。うん、わかっていたことなんだけど……。
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主人公のトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット。『ザ・ウォーク』とかのひと)は、いわゆるサブカル系の大人しめ男子。子どもの頃からロマンチストで「運命の恋」を信じて生きてきた。

ヒロインのサマー(ズーイー・デシャネル。『イエスマン』にちょっと出てる)は「絶世の美女じゃないけどなんかモテる系女子」の代表みたいな女の子。ふわっとしていて、でもちょっと個性的で、恋愛には奔放。トムともなんやかんやで、付き合ってるんだか付き合ってないんだか、気軽な関係を続けていく。
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「付き合っている」レーベルを貼りたい派のトムと、貼りたくない派のサマー。今までの「彼氏」とはなんで上手くいかなくなったの?と聞くトムへの答えが、サマーの恋愛観と、この映画のハイライトという気がしている。

"Nothing happened really. It’s what always happens. Life."— 何かあったわけじゃないんだよね。よくあること。それが人生だよ。

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作品の冒頭でわかることなので書いてしまうと、結局トムとサマーの関係も、500日(くらい)で終焉を迎える。特別だと思ってた恋も、やっぱり数ある出会いの中のひとつだったとふと実感して、愕然とした経験があるのは、きっとトムだけじゃない。

ただ、この映画のエンディングは、前向きだ。次のステップへ進もうとするトムは、偶然出会った新しい女の子と自己紹介をしあって、月日は流れて行くのだなと苦笑する(理由は見てください)。
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運命の恋なんてない、けれど、普通の出会いを特別にすることはできる。もしかしたらサマーとも、タイミングと行動次第では「運命の相手」になることができたかもしれない。

でも、夏が終われば秋が来る。過ぎてしまった季節は取り戻せないし、恋は一度終わったらおしまいだ。きっとそれで良いのだと思う。何かあったわけじゃなくても、そういうことが起こるのが人生なのだ……サマーいわく。
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ちなみにこの映画は、サントラもとっても人気がある(と思う)。オープニングのRegina Spektor ”Us” をはじめ、The Temper Trap “Sweet Disposition”、エンディングのMumm Ra “She's Got You High”、ポップで明るいのにちょっぴり切ない気もする曲がどんどん出て来て、BGMとしてかけておくのも大好きだ。

★『(500)日のサマー』
★公開年:2009年
★監督:マーク・ウェブ(アメイジング・スパイダーマンのひと)
★上映時間:96分(ほどよい)

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