押し入れ好きだった子ども時代の思い出
子どもの時に、押し入れの中に入るのが好きだった。
小学2年生くらいだったと思う。
その時好きだったうさぎのぬいぐるみを2匹引き連れて、毛布をしいて押し入れに入っていた。
そこは、自分だけの秘密な空間な気がしてウキウキしていた。
何をしていたかはぼんやりとしか覚えていないけれど、とにかく押し入れの中にいるのが嬉しかった。
しばらくして、私は押し入れの天袋にものぼる技を身に着けた。
押し入れのなかの段ボールか何かに上手い具合に足をかける。
腕の力もぞんぶんに使ってえい!とのぼる。
私は天袋では止まらない。
さらにそこから天井裏に潜り込んだ。
初めて天井裏に入ったときには、薄暗いその世界に入った喜びが身体中に広がった。
家の中にこんな場所があったなんて!
ずっとあったはずなのに、知らなかった世界!!
ほこりっぽい天井裏だけど、ワクワク感はとまらなかった。
懐中電灯を持ち込み、どこまでいけるか実験していた。
けっこう広い。
今日はここまでにしよう
次の日は、昨日よりもう少し進んでみよう
そうやって、しばらく探検は続いた。
毎日、少しずつ進んでいる感覚が嬉しい。
天井裏を制覇するぞ!という意気込みが大きくて、そんな自分を少し誇らしくも感じていた。
ところが、しばらくして、私の探検を弟に見つかって、一緒に入りたいと言われるようになった。押し入れには一緒に入った。弟もやっぱり押し入れの魅力には叶わないらしい。ただ、入っているだけなのに妙に楽しそうだった。
でも、6歳下の弟を天井裏に連れていくのはムリで、せがまれてはムリだよとなだめて、私だけ行くのもなかなかできず…
そんなこんなをしているうちに、
私の天井裏ブームは自然と終焉を迎えた。
でも、今でもふとした時に思い出す。
あの、ときめき。
自分にとっての大冒険。
すぐ近くにあったのに、知らなかった世界。
こんな近くに広がる、ワクワクした世界。
あのドキドキ感は子どもならではなのだろうか。
いや、そんなことはないと思う。
今でも、近くだから見えてないし、気づいていない
心ときめく世界は広がっていると思う。
そういう世界を発見したら
子どものときみたいに純粋に楽しみたい。
そう考えると、楽しい
秋の夜
窓の外から、鈴虫の声が聞こえてきて、
そんな子ども時代をふと思いだした。