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雑文 #174 一年前の今日

一年前の今日、私は京都の磔磔というライブハウスでくるりのライブを観ていた。


正確には一年前の昨日と今日だ。

くるりのファンなら一度は観たい、くるりと相思相愛のライブハウス・磔磔。チケットは1日分しか当選しなかったが、2日目のチケットも余ってる人から譲ってもらってずっと行きたかったライブハウスへ。


ああ覚えてる。一日目は浮足立っていて、京都は暑くて祇園祭のコンチキチンが流れていて、四条通りは外国人で溢れてて。私は熱中症になりそうになりながら、通りを往復してもうこの通りは通るまいと思ったりして。

一年経つと、京都には行けないし四条通りにはきっと外国人なんてほぼいないし、おまけに暑くない。


あまりにも浮足立っていたので、ライブはあっという間に過ぎてしまってよく覚えてなくて、周りは皆興奮していてとにかく暑くてボーっとした。

せっかくだから帰り際に祇園祭をちょっと覗こうと思っていたのに、すっかり忘れてしまった。

音博でわいわいやる仲間と飲んで、帰り道、ひとり「7月の夜」を歌いながらホテルへ向かうと、本当に子猫が出てきて夜の街へ消えてった。

私は欲張りで翌日もライブを観る。

この日のライブはよーく覚えてる。

磔磔には前方の真ん中左寄りに柱があるのだが、これが邪魔だという前評判を聞いていた。ところが私はその恩恵に預かった。

チケット番号がけっこう早いほうだったので、この柱の前に寄りかかりながら観ることができたのだ。

別に計画していたわけじゃないけどこの柱はすごく頼りになった。

セットリストはこの日のほうが好きで、ステージは近く前日よりずっとよく見えた。この日はツアーの最終日で、「虹」で私は砕けた。

この日京都アニメーションの例の事件が起こったとは、私はこのときまだ知らなかった。


ライブ前後は雨がしとしと降っていて、蒸し暑く、私は体はぼろぼろだけど心はぴかぴかになって、くるり好きの友達とササッと夕ご飯を食べながら興奮してずっとしゃべり続け(このときの自分はきっととても子供っぽい)、四条通り付近から出る高速バスに乗っかって眠りながら帰った。


早朝東京に着いたときの淀んだ体と心地よい疲れ。家に帰るときに見た枯れかけた紫陽花。それがきれいだったこと。心がきらめいていたこと。音の余韻が体に残る。


今日はそのときのツアー「列島ウォ~リャ~Z」のTシャツを着て過ごした。爽やかなライムグリーン。

楽しみにしていた夕方のceroのオンラインライブ。ちゃんとしたチケット代を払って観るやつ。
ceroは私がくるりの次にライブをよく観に行くバンドだ。オンラインライブは3月に一度体験済み。



素晴らしかった。よく考えられ作り込まれていた。日比谷野音。Outdoors。美しい映画のようだった。泣いた。


でもこの涙は「ライブを体感することができない」という悲しみとやるせなさから来るんだと、コメント欄を見るとともに自覚した。

もちろん感謝もある。好きな音楽家たち、スタッフの方々には感謝をしたい。

体がどんなに疲れても、心がぴかぴかになる。それが音楽のライブ。

#日記 #雑文 #散文 #音楽 #ライブ #オンラインライブ #くるり #cero

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