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特等席 〜ペットロスと向き合って〜

月命日の日、モモが旅立ってから1ヶ月も経ったのに、心にぽっかり空いた穴が1ミリも埋まっていない事に気付き、モモの姿を追い求めながら空を見上げた。

雨や曇りの日が比較的多い町に住む私達にとって、澄み切った青空は本来なら幸せな気持ちにさせてくれるのだが、旅立った命が戻って来る事がないという普遍の事実を大空に突きつけられ、たまらない気持ちになった。

「ペットロス」という言葉は、いつから使われるようになったのだろう。

私はぐっすり眠れない日が今でも続いているし、1人の時にモモの事を考えると涙が止まらなくなることがある。

先日受け取った遺灰が入った箱には、ペットロスに苦しむ人達向けのパンフレットが入っていた。

安らぎと癒しを与え続けてくれたモモが旅立って、今までの人生で経験したことのない喪失感と、「もっとしてあげられた事があったのではないか」「安楽死させると決めたタイミングは正しかったのだろうか?」という自責の念から抜け出せないままでいる。

日常のルーティンは心の麻酔の様なもので、仕事や子供達の送り迎え、家事などをしている時はあまり痛みを感じないけれど、ふと気を抜くとその麻酔が切れ、強烈な痛みに襲われる。

ペットロスが原因で命を絶ってしまう人がいる事は悲しい事だが、理解も出来る。

モモはありのままの私を愛してくれて、ただただ一緒にいる事を喜んでくれた。
犬だから当たり前なのかもしれないが、私を批判する事は一切なく、私を心から信頼し、寄り添い続けてくれた。

モモが息を引き取った後、獣医さんに
「あなたはモモにとって最良の選択をしたんですよ。」
と言われた。

飼い主が自分を責めたり、後悔しない様にとの心遣いで使う常套句なのだろう。
その言葉は、モモが息を引き取る瞬間の映像と共に、私の中にくっきりと残り続けている。
本当にそうであったと思いたいし、救いを求めるかの様に、その言葉を自分の頭の中で再生する事がある。

モモ、あなたが横を一緒に歩いてくれない散歩は寂しいし、外出先で飼い主さんと楽しそうに過ごしている犬達を目にすると羨ましい気持ちになるし、もう使われることのないベッドを見る度に、あなたが居ない事をリマインドされて辛くなるよ。

子供達に「いつベッドを片付けるの?」と聞かれたけれど、本当にいつ片付ける気持ちになるのだろう。

ベッドや水入れや色んなものが、旅立った日のままの状態で置いてある。

モモ、あなたが居ない毎日はこんなにも寂しくて辛いものだったんだね。私が想像してた100倍寂しくて辛いよ。
でも、あまり心配しないで。
寂しいけど、あなたと過ごした18年間は、ボーダーコリーの居る暮らしは楽しいだろうなと、出会う前に想像していた1000倍、いや10000万倍楽しくて幸せな時間だったよ。
だから、心にぽっかり空いた穴はずっと埋まらないものなのかもしれない。
この穴はきっと、私の心の中にある、あなただけの特等席なのでしょう。
そう思うと、この埋まらない穴が愛おしくもあり、埋める必要のない穴なんだとホッとした気持ちになる。
もうしばらくは泣き虫な私だけど、空から温かく見守っていてね。

雪に毎回大はしゃぎ
泳ぐのも大好きだったね
枝もオモチャ
ソファーでくつろいでいると、「撫でて」と甘えてくる
子供達のイタズラも気にしない
ボールを追いかけるのが大好きでした(投げてくれるのをじっと待つ)
森の中を沢山一緒に歩いたね
いつでも一緒にお出かけ
ブリーダーさんのところで初めて会った日
泥々になっても可愛かった

Momo, you will stay in my heart forever.

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