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『筋肉を増やして代謝を上げる』は間違ってないが遠回り

こんにちは。管理栄養士の河村桃子です。

【 筋肉を増やして基礎代謝を上げれば痩せる 】
という話を聞いたことがありませんか?

『年齢とともに代謝が下がって太りやすくなった』
『運動していないから代謝が低い』

といったように、ダイエットサポートをしている方の多くが【代謝の低下】という悩みを抱えています。

そのため、ダイエットには筋トレが必須と思っている方が多いのですが、
残念なことに筋トレをしただけで痩せることは難しいです。

今回は、筋トレだけでは代謝を上げることが難しい理由と、筋トレ以外で代謝を上げる方法についてお伝えしていきます。

代謝とは?

まずはじめに、「代謝」という言葉をよく耳にしますが、代謝とは一体どういうことなのでしょうか?

詳しい説明は省略しますが、代謝とは体のなかで起こる化学反応のことで、食べ物が体の中に入り分解され、吸収された栄養素をエネルギーにしたり、生命の維持に必要な物質に変える作用のこと。
つまり、私たちが生きていくために必要なエネルギーを作り出すことです。

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「1日2000kcal消費している」
「ランニングで200kcal消費した」
といったように、代謝によって作り出されたエネルギーを消費エネルギーと呼んでおり、一般的には消費エネルギーのほうがピンとくるかもしれません。

代謝(消費エネルギー)には3種類ある

代謝と聞いて思い浮かべるワードはありますか?

多くの方が【基礎代謝】と答えるのではないでしょうか。

基礎代謝は代謝のひとつですが、代謝は基礎代謝だけでなく

■ 基礎代謝
■ 生活活動代謝
■ 食事誘発性熱産生

の3種類があります。

基礎代謝

基礎代謝とは、心臓を動かす、呼吸をする、脳を動かす、体温を保つなど…

生きていくために最低限必要なエネルギー代謝量

のことです。

何もしないで寝転んでいても生命維持のためにエネルギーは消費されています。
1日の消費エネルギーのうち基礎代謝約60%と大きな割合を占めています。
※1日2000kcal消費している場合だと1200kcalは基礎代謝です。
 生きていくにはエネルギーが必要なんです。

生活活動代謝

生活活動代謝は

体を動かすときに消費されるエネルギー代謝

のことです。

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体を動かすというと運動によるエネルギー代謝のことだと思われがちですが、
運動以外にも買い物にいくために歩く、掃除や洗濯といった家事など…
日常生活の中でも生活活動代謝は発生します。

1日の消費エネルギーのうち生活活動代謝約30%を占めています。
※1日2000kcal消費している場合だと600kcalは生活活動代謝です。

食事誘発性熱産生

食事誘発性熱産生は通称DIT(Diet Induced Thermogenesis)とも呼ばれ

食べ物が体内に吸収され栄養素が分解される過程で、その一部が熱(エネルギー)となって消費されるエネルギー代謝

のことです。

食事をした後に体がぽかぽかするのは食事誘発性熱産生によるものです。

1日の消費エネルギーのうち食事誘発性熱産生約10%を占めています。
※1日2000kcal消費している場合だと200kcalは食事誘発性熱産生と
 コンビニのおにぎり1個分と同等のエネルギー代謝があります。

食事誘発性熱産生については、また別記事にて詳しく紹介したと思います。

『基礎代謝=筋肉』ではない

前置きが長くなりましたが、ここから本題です。

基礎代謝は消費エネルギーの60%と大きな割合を占めていましたね。
しかし、当たり前のことなのですが…

基礎代謝は全て筋肉によるものではありません!

筋肉以外にも臓器が生命維持のためにエネルギーを消費しています。

基礎代謝の各臓器が占める比率(内訳)を見ていくと、

骨格筋(筋肉) 22%
脂肪組織      4%
肝臓       21%
脳        20%
心臓         9%
腎臓       8%
その他       16%

と、基礎代謝に占める割合で一番多いのは筋肉ですが、
それでも全体の1/5程度です。

さらに、例え筋トレを頑張って筋肉を1kg増やしたとしても

筋肉1kgの1日の基礎代謝は13kcal

と、ご飯一口(20〜30kcal)にも満たない基礎代謝しか増えないのです。
※筋トレで筋肉が増えることで他の臓器も鍛えられるため1kgあたり50kcal増えるという見解もあります。

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また、筋トレ初心者であればトレーニングを始めればそこそこ筋肉をつけることができますが、筋肉を1kg増やすのはそう簡単なことではないため、基礎代謝アップのために筋トレだけを頑張るのは意外と遠回りなのです。

基礎代謝を上げるには内臓に注目!

では、筋肉以外で基礎代謝を増やす方法はあるのでしょうか?
そこで注目していただきたいのが、筋肉以外の臓器です。

筋肉の次に基礎代謝に占める割合が多いのが肝臓で全体の21%です。
比率は少ないものの腎臓も基礎代謝の8%を占めています。
内臓の働きは消化・吸収・排泄です。
肝臓や腎臓といった内臓は筋肉よりも基礎代謝を占める割合が高いのです。

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つまり、

内臓の働き高めることで基礎代謝が上げることができる

のです。

しかし、内臓の働きを高めると言われてもピンとこないですよね。

内臓の働きを高めるには

①よく噛んでゆっくり食べる
②食べ過ぎ(飲み過ぎ)ない
③内臓を休ませる時間を作る

です。

①よく噛んで食べる

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よく噛んで食べることで、食べ物が体の中に入ったあとスムーズに消化吸収を行うことができます。スムーズに行えない状態が続くと、内臓は疲れ果ててしまい、本来の力を発揮できずに代謝が低下します。食事をするごとによく噛んで消化吸収をスムーズに行えるようにすれば、内臓の代謝は低下することがなくしっかり働いてくれます。

②食べ過ぎ(飲み過ぎ)ない

食べ過ぎ、飲み過ぎが続くと内臓は絶えず消化吸収のために頑張って働かなくてはいけません。満腹まで食べないようにすれば内臓への負担が減り、代謝が低下することを防げます。

③内臓を休ませる時間を作る

私たちも休まないと疲れ果てて、本来のパフォーマンスを発揮できませんよね。
内臓も同じです。内臓を休ませると聞くと断食やファスティングをイメージされますが、そんなことをする必要はありませんよ。

遅い時間の夕食や寝る直前の食事を控え、翌日の朝食まで10時間から12時間空ければ内臓を休ませることができ、本来の力を発揮してくれます。

まとめ

今回は

■ 代謝について
■ 代謝の種類(基礎代謝、生活活動代謝、DIT)
■ 基礎代謝の内訳(筋肉よりも内臓のほうが基礎代謝は高い)
■ 筋肉をつけても代謝はそこまで上がらない
■ 筋肉は簡単にはつかないため基礎代謝アップには遠回り
■ 基礎代謝を上げるには内臓の働きを高める

といった内容をお伝えしました。

筋トレは基礎代謝を上げるには遠回りな方法ではありますが、筋トレをすること自体は体の引き締めや血流改善、体温アップなど様々なメリットがあります。

また、内臓を動かす1日3回の食事はトレーニングの一種です。

適度な筋トレもしつつ内臓の働きを高める食べ方を意識する

ことが基礎代謝を上げていくには大切ですね!


※参考文献
身体活動とエネルギー代謝,e-ヘルスネット(厚生労働省)
加齢とエネルギー代謝,e-ヘルスネット(厚生労働省)
エネルギー代謝に関するQ&A,国立健康・栄養研究所
 閲覧日:2021年9月30日

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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