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きっと花の咲く日が来ますよ

  おそらく、この世の中に、一度も苦労や辛い目に遭ったことのない人はいないのではないでしょうか。でも、影があるから光がある。苦難があるから喜びが大きい。そんな気がするのです。
小説「京都祇園もも吉庵のあまから帖」シリーズの取材で、しばしば京都の町を歩きます。取材と言っても、お店のご主人のインタビューなど確たる目的がない場合も多いのです。とにかく、あちらこちらをぶらぶらと歩くだけ。そうした、散策が、のちのち、
「あっ!そういえば、あの時のお店の和菓子は美味しかったなあ。今回の小説に描こう」
と、結びつくことがあるのです。
つまり、「無為」が「有為」に変わるのです。
さて、そんなぶらぶら歩きの最中に、寺の掲示板に立ち止まって、そこから動けなくなることがあります。例えば、こんな言葉・・・。
 
「この泥がありてこそ 咲く蓮の花」
顕本法華宗本山・寂光寺にて
 
私事になり恐縮ですが、その昔、上司からパワハラに遭って倒れ、出血多量で生死を彷徨った時のことを思い出しました。
本当に辛かった。
会社を辞めることを考えたがけでなく、この先、どうやって生きて行ったらいいかわからなくて悩みに悩みました。私の人生のどん底期です。
でも、あの辛い日々のおかげで、今の自分があるのだと思っています。
もっとも、もう二度と御免ですが・・・。
 
映画「男はつらいよ」の主題歌(作詞・星野哲郎)にもこんな歌詞があります。
「どぶに落ちても根のある奴は、いつかは蓮の花と咲く」
だから、だから・・・今、辛い目に遭っている人、頑張っているけどなかなか光が見えない人に、「生きる勇気」をお届けしたくて小説を書き続けています。
「きっと花の咲く日が来ますよ」
と。


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