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清水坂のお寺の掲示板

  第6巻の一話「少年の痛みを癒し山燃ゆる」では、清水寺が舞台です。
 清水寺は、数え切れないくらい何度も訪れています。
 
修学旅行生の主人公・空太は、足をケガしていて車いす。
 そのため、クラスメイトがヘルプをして参拝します。
 清水寺は、バリアフリーの施設が充実していることで知られています。小説の描写によりリアリティを持たせるため、執筆前に「もし私が、車いすの生活をしていたら・・・」と思いつつ、現地取材をしました。
 
 参道の清水坂を登ります。
 途中、左手の「寶徳寺」(ほうとくじ)の掲示板に目が留まりました。
 
「登りつむれば 下りが大事」
 
う~ん。
なんと深い言葉でしょう。
その真意がどこにあるのか。
ずっと立ち止まったまま、思いを巡らせてしまいました。
 
登山をする友人がこんなことを言っていました。
「山は登りも下りが危ない」
と。下る時に、膝を傷めたりする。登頂して、ホッとして転倒することもある。
 
それを人生に準えてみます。
大きな仕事を成し遂げて称賛を浴びる。
ところが、それに慢心して鼻が高くなり、周りから疎まれる。
よくありそうなことです。
 
歳を取る。
すると、ついつい若者に苦言を呈したくなります。
良かれ、と思って言っているつもりでも、
「うるさい年寄り」
と思われているかもしれません。
・・・そう、私も。
 
となると、人間、肝心なのは、人生の登り坂よりも、下り坂ということになります。
どう下って行くのか。
そんなことも、次の巻では書きたいと思います。
 

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