人それぞれ

落ち込んだとき、とことん落ち込む派と気分転換する派がいると思う。
どちらが良いとか悪いとかはない。
単に、その人に合うか合わないかの話だ。
私のパートナーは、気分転換する派だ。
たぶん、一般的にはこちらの方が健康的で、良いこととされている。
でも一方で、とことん落ち込む派も存在することをみんな知った方が良いと思う。
ポジティブが良しとされている世の中だから、無理にポジティブになろうとして失敗してる人もいると思う。
そういう人たちに、やり方はひとつじゃないことを知ってほしい。

かく言う私は、お察しの通り、とことん落ち込む派だ。
ただ 私は、自他共に認める「一周回ってポジティブ人間」なので、少し複雑だ。
とことん落ち込んで、この世の不幸をすべて背負ったみたいな面して、地面にめり込みそうになる。
そんなイメージで、自分の傷にひたすら酔う。
思う存分、挫折した主人公を気取る。
すると、ウジウジしてる自分に腹が立ってきて、助けてくれない周りの人にも腹が立ってくる。
怒りは力だ。
そうしたら、もう這い上がるしかなくなって、なんとか歯食いしばって ヤケクソになりながら、少しずつポジティブになっていく。

「結局ポジティブになんなきゃいけないんじゃん!」と思う方もいるかもしれない。
だからここで少し補足しておけば「希望は持っていた方が良い」ということ。
ゴールが見えてないと、どこに向かえばいいかわからず、自分の立ち位置すらわからなくなってしまう。
だから、希望という名のゴール……つまり、「こうなりたい」という理想は持っていた方が良い。
誰かが自分より恵まれていると感じて、羨ましいなら、その羨ましい気持ちをゴールに設定する。
完璧な理想を追い求めると、それはそれで苦しくなるから、自分なりにアレンジする必要もある。
ただ、最初からゴールを設定する必要はない。
とことん落ち込むとき「なんで私はあの人みたいになれないんだよ!なんでみんなばっかり恵まれてるんだよ!」と泣き叫ぶ。
その叫びが、ゴールになるんだ。

でも、どうしても、どうしても這い上がれそうにない時もある。
叫んでも叫んでも、涙が枯れる気配はなくて、力がわいてこない時がある。
私はそういう時、第二次世界大戦をテーマにした映画を観るようにしてる。
とてつもなく不謹慎かもしれないが、「頑張ろう」という力が芽生えるんだ。

理由を自分なりに分析してみた。
たぶん、戦争という 個人では抗えない時代の波に巻き込まれて、どんなに頑張っても報われない死があることを、実感させられるからだ。
それに比べたら、自分なんてちっぽけなものだ と思える。
私の問題は、個人で抗えるレベルの問題だ と思える。

ただ重要なのは、それを自分自身で感じることだ。
たとえば、他人から「みんなも頑張ってるんだから」「みんなも辛いんだから」と言われたら、それはまた話が全然違う。
自分自身の問題を、他人が勝手に決めつけてはいけない。
「あなたはそう思うことで乗りきれるかもしれないけど、私は無理だよ」と、胸を張って言い返そう。
たぶん、こう思えちゃうところが、一周回ってポジティブな所以なんだろうな。
ネガティブなんだかポジティブなんだか、自分でもよくわからない。

もし私が落ち込んでる時、誰かに「ほら、戦争映画でも観て、自分の悩みがどれだけちっぽけか考えてみなよ」と言われたら、たぶん 殴りたくなると思う。
その人とは、積極的に距離を置くだろう。
あるいは、私の性根は良い方ではないので、その人が落ち込んでる時を狙って そっくりそのまま同じ言葉を言ってあげるだろう。
なんならオススメの作品も紹介してあげよう。
そして「私はなんて優しいんだろう」と、悦に入ろう。
なんて、そんな 想像上の人物にイライラするのは感情の無駄遣いだから……やめよう。
さすがにここまで酷いことを言う人は、私の周りにはいない。
そもそも、落ち込んだときに戦争映画を観ることを誰にも告げたことがないから、言われるわけがないんだけど。

ともかく、そういった、どうしても這い上がれそうにない時の秘密道具も準備しておくと良い。
それによって、なんとか、力が芽生える……それくらいの効力でいいから、何かしら秘密道具を準備しておくと良い。
これが、とことん落ち込んでから這い上がる方法だ。

でも、気分転換する派が合ってる人がこれを無理にやると、とても危険だったりもするんだと思う。
落ちるとこまで落ちたのに、さらに加速して地球のコアまで到達して、戻ってこられなくなるかもしれない。
前述したように、とことん落ち込む派の人が無理に気分転換する派をやっても、危険だ。
ある日突然、プツッとなりかねない。

合う合わないは自分で判断するのがベストだし、私の考えが正しいわけでも 間違ってるわけでもないんだと思う。
でも、選択肢はたくさん知っておいた方が良いだろう。
「これが良い!」って最初は思ってても、やってるうちに違うことに気づくことだってたくさんあるはずだ。
そうしたら、他の選択肢を選べばいいんだ。
自分の人生だからね。

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