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漫画離れに拍車をかける「コンテンツの二番煎じ」

先日友人と話していてあることに気が付いた。

漫画離れを加速させている一因は「売れてる」同類コンテンツを二番煎じしすぎる手法にあるかもしれない。


友人はとっても漫画好き。
鬼滅がはやるずっと前から鬼滅を勧めてくれていた。
いろんなジャンルを幅広く読んでハマっては語ってくれるので、おもしろい漫画の把握力が高い。

そんな彼女が「最近おもしろい漫画がない」とこぼした。

そういえば、最近似たような漫画ばかり目にする。
どっちを向いても異世界転生、悪役令嬢。
ちゃんと読めば名作もあるのかもしれないが、どうにも箸が進まない。

読みたいと思えない原因は好みが大きいと思う。そのコンテンツが供給したい層に、わたしがいられないというだけの話。
けど、ちょっと待てよ。
本当にそれだけが原因かな?

そもそもわたしも漫画好き。
少女漫画から青年漫画まで割と幅広く読むほうだと思う。漫画の勉強のために好みでないものもよく読むようになった。
しかしそれでも「読む気が起きない」というのは、やはり他の原因もある。
おそらく胸やけをおこしているのだ。
供給されすぎて、同じコンテンツが多すぎて、もう飽き飽きしている。タイトルを見るのですら「またか」と気分が悪くなる。

「好みの問題」でまるっと片づけてしまうと、埋もれている別の要因に気が付かないこともある。
そこでちょっと考えてみることにした。

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ビジネスには戦い方の基本、ランチェスター戦略というものがある。
2次大戦のときに提唱された戦争での戦い方の、ビジネス応用版だ。
その市場での影響範囲が大きい強者(マーケットシェアNo.1)は遠隔戦ができ、それ以外の弱者は基本ゲリラ戦で戦うしかない、というもの。

弱者の戦い方は「差別化」。いかに他と違うことをするかだ。
対して強者の戦い方は「二番煎じ」。弱者が築いた独自コンテンツをさも自分のもののようにかっさらうことだ。

現状をみると、さしてマーケットシェアの大きくない書店や新生出版社がこぞって似たようなコンテンツを量産している。
戦い方が真逆だ。
他がやってないことをやらねばならぬのに、二番煎じばかりしている。

二番煎じしたくなる心理はよくわかる。
即金になりそうだから。
けれどそれは中長期的な目で見ると爆発力は生まないし、まして新生でそれをやってしまうとカスタマーに自社をアピールする絶好の機会を失うことに等しい。「他にも同じものがたくさんあるから、御社を選ぶ必要はないよね」と。
結局のところ、小金は入って来てもカスタマーに価値を見出して貰えない限り長続きはしないのだ。

今回の現象は、最初に小説のジャンルとして悪役令嬢にスポットを当てたところが最も正解の差別化戦略だったが、どこが一号店だかわからないうちに同じ系統の店があれよあれよという間に乱立してしまったようにみえる。
いわゆる、「全員うちが発祥」現象。

発祥の称号がうやむやになってしまうことは大いにある。
だから最初に火をつけるときに爆発力が大切で、たとえば悪役令嬢モノをよりどりみどり揃えた状態で一気にドンと売り出すとか、もはやそれだけに特化して作り込むとか、とにかく他が追いつけないくらい勢いをつけてダッシュする必要がある。独自コンテンツを保有するのに、どうしても初期投資が必要なのはこのためだ。ここで出し渋るか、もしくは十分な投資ができない場合に、悲しいことに発祥を名乗れなくなる。
発祥を名乗れなかったらその他大勢と一緒なので、また独自コンテンツを発掘する長い旅に出なければならない。

箱根駅伝せっかく出れたのに、10位以下になってまた来年予選から…てパターンと似てるね。切ない…(´_ゝ`)

ブルーオーシャン・レッドオーシャンという用語もあって、供給過多のコンテンツはレッドオーシャンだ。
ライバルが多く、カスタマーを取り合っている、分が悪い市場。
カスタマーの取り合いが起こっている市場は、最後必ず価格競争になる。価格競争に巻き込まれたらそこで戦い続けるのは困難。他の未開拓のコンテンツを見つけ出すか、付加価値をつけなければジリ貧だ。

(私も含め)友人のようなカスタマー動向を分析すると、
漫画が好きで幅広く読んでいた層が、胸焼けするくらい同じジャンルの漫画タイトルばかり目にするようになり、漫画を読む気力を失い動画コンテンツに流れる
って流れが少なからずあるように思う。

もともと動画を受け取る側は極度に受動的でラク。それに加えて動画コンテンツが充実してきている。
漫画より動画のほうがエンタメ性が強いからカスタマーが流れちゃってるんだよと漫画関係者から聞くこともしばしばだが、そういう原因をつくってやしないかい?
漫画に嫌気がさしたから動画見よ~って心理状態に、カスタマーを追い込んでやしないかい?

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いまやテレビよりもYoutubeチャンネルを見てるほうがおもしろいと感じるひとが増えているくらい、こちらの業界もプロとアマの垣根がなくなってきた。
音楽もそう。自分で作曲して配信して、プロより人気のあるクリエイターも大勢いる。
今後はクリエイターが所属する事務所的な会社が増えそうだなあ。
クリエイターは基本個人事業主だけど税務関係や法知識が追いつかないところも多いから、そういうのマネジメントする会社いっぱい出てきそう。開業しやすくなると経済活性化につながるよね。
人類みなクリエイター時代にもうすぐなると思うけど、そうなったら個人事業主とか小規模企業がめっちゃ増えるから、中規模の経済の波がたくさん起きそう。
そこからまた淘汰が起こって、キチン・ジュグラー・クズネッツ・コンドラチェフのように様々な波形の波になるんでしょうね。

以上、漫画離れをひきおこす原因考察でした(*'ω'*)ノ
真面目な話になっちゃったナー。

わたしの好きを詰め込んだマンガですが、届いてくれることを願って。応援いただけると本当に嬉しいです。