義母と忠犬 ~ 忠犬のチュウは徳勝龍のリュウ

昨夜の願いむなしく今朝はまとまった氷雨が降っていて、夜明け前の暗い通りをを犬とオロオロと散歩した。散歩の後は、今日は早朝から夕方まで犬には留守番をしてもらう。

日頃はできるだけ留守番をさせないよう、在宅ワークを多くしたり犬同伴出勤を認めてもらったりしているが、半日以上の留守番をしてもらわざる得ないこともある。

今日は昨秋から長らく準備してきたイベントの日で、結果、イベントは大成功に終えられた。雨のなか来場してくれた参加者の皆さんが、ともかく楽しそうに幸せそうに、集中して真剣にイベントを体験してくれた。主催者も協賛者も協力者も、みんながその手応えに感動した。そんな一日だった。

雨も上がった夕方に犬のもとに戻った。実は犬は一人ではなく、義母と留守番してくれていたのだ。「玄関のまえから動かずに、玄関ドアとリビングの私を交互にずっと見ていたのよ」とお義母さんは教えてくれた。

長時間待たされても、犬は私のようにくさらない。ほかの犬と自分を比べてその境遇を悲観することも拗ねることもない。最愛の人に数年越しで再会したかのように、私の帰宅をただ手放しで喜んでくれる。

「帰ってきてくれてありがとう。君が帰ってきてくれてわたしはいま世界一幸せだ。君とこうしてまた会えるなんて信じられないよ。神様、奇跡をありがとうございます」というくらいのことを、外出からもどる度に、犬から毎日言ってもらっている感じがする。

「お昼にリンゴを少しあげて、3時にヨーグルトをあげたのよ。そのあとベッドで一時間くらい寝たかな」という報告を受けて、老境に差し掛かろうかという犬が、ただ私の帰宅を待ちわびるだけでなく、留守番の間の喜びを見いだせるようになってきたことが、イベントの成功と並んで嬉しかった。
徳勝龍の初優勝とも並んで、嬉しかった。




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