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街は劇場

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日々すれ違う名も知らぬ皆にツッコんだりグッときたり
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#考えたこと

フリマとポケット 仕事といい仕事

マーケットの語源はラテン語、商品や商うという意味らしい。 バザーの語源はバザールでイスラム語だったかペルシア語だったか、 市場だとか物の値段や価値が決まる場所という意味らしい。 つくったりあつめたりあつまってひとつの場所でそれらを売るというイベントはどこかしらでいつもおおきなものからちいさなものまでまあ行われているわけであなたもよく行くかもしれない。 わたしも通りがかると覗くし時折出向きもする。 そこは世界だと思う。 例えば「手作りフリマ」的なやつには かわいいものや個

信号 灯 水槽

夜のロードサイドにぼんやり光るそこにはあたたかみがある。 けれどどこかしんとした怖さや寒さのようなものも感じるのはわたしだけかな。 人が思い思いの買い物目的で寄る場所、人工的な灯りと機械的な雰囲気、 でも人が居る24時間ずっとあいているその場所に。 しばらく臥せっている間に、 以前書いた改装中にもロゴが光っていてたコンビニが再開していた。 日曜の夜、すこし歩いて行くと青白い灯りに吸い寄せられるように人が入っていくのが見えた。 水槽みたい。 と、ぼんやり思ったのは赤

「お待ちどぉさん」の極意 美味さつまりいい仕事に満足

食べる前からもう気持ちよかった。あったかかった、 「いらっしゃいませ!」 暖簾をくぐるとまっさきに迎えに出て下さる御店主であろう年配の男性の、 うるさくなく嘘くさくなく爽やかなのに押しつけな爽やかさじゃない上品で清潔な色と大きさの声と、その声にしっくりぴったりな笑顔。 席に通されると、若いひとがお手拭きと一緒に運んでくれるのは2種類。 お水と、程よいあったかさのほうじ茶。わあ! その日は夜と夕方のあいだくらいの時間なのにちいさな店内は程よく賑わっていて、客の顔ぶれはさまざま。

パレード

「無事でしたか」 「無事来れました。封鎖とかされてましたけど(笑)」 「でしょ? 朝からっすよ」 「しかしこの日に来るかね、って感じですよねわたし?!」 「確かに(笑)」 「今日しか来れる日なくて。知らなかったんですよ今日って。 昨日テレビのニュースで知った(笑)」 「今日っすよ。まさに今からっす。ちょうど。めっちゃ今からっす(笑)」 阪神優勝パレードの日のヘアサロンでの会話です。 店は大阪・心斎橋にあります。 御堂筋沿いではないんやが、一本逸れただけのところの二階に。

まっすぐ それぞれの『青春の影』

チューリップの『虹とスニーカーの頃』を聴いた時はぶったまげた。 初めて聴いたのは若い頃、ワルい年上の友人たちとの徹夜カラオケだった。 だいぶ年上の「職業・芸者」の姐御が明け方頃に踊りながら歌った。 「この歌……すごい歌詞やね」 「え、そんなん思ったことないわ、でもそう言われてみたらヤバいな(笑)」 「ヤバすぎる、歌い出しから、しかも何度もそのフレーズ出てくるし」 「そういう時代だったのよね、おい和夫(笑)」 先日NHK「のど自慢」のトリとして登場した方の歌を聴いて数日して思い

骨 あなたって、あなたって

チェーンの古本屋のカウンターでお客さんが店員さんに延々話しかけていた先日。 (おっちゃん、にまでいかない、にいちゃん) どうでもいい世間話や己の話を延々と延々と買取カウンターでしていた。 わたしが売ってる間も買うてる間もレジに居て話しかけていたから短い時間ではない。 店員さんはうまく相槌を打っていた。いつものこと、いつもの人なんだろうなと思った。 なんやろね。なんなんやろね。キモいね。やさしいね。 以前スーパーで似た状況に遭遇して店員さんと目が合った話はここに書いた。 ほ

祭 ある本と盆踊りと人間と

若竹千佐子さんの『かっかどるどるどぅ』を読んだ。 2017年下半期の芥川賞受賞作『おらおらでひとりいぐも』の著者は 前作でタイトル通り老いた人の孤独からの「ひとりで」を選んだ生き方を描いた。 第二作目となる本作にも、同じく孤独を抱えた人々が登場する。 でも彼女たちや彼らが思ったことは選んだのは「みんなで生きる、生きてみよか」だ、と思った。 生きづらさを抱える人たちが集い、皆でご飯を食べ、たくさんの会話を交わす。 その中には戦争もコロナもウクライナもロシアもアメリカも、そして生

演歌とソウルと峠の話

演歌の歌詞の大半は「アウト!」だと思っている。 笑えんけど笑えたり、笑わなしゃあないレベルで笑ったりする。笑えない。 例えば、ちびまる子ちゃんが歌うことでもお馴染み、 殿様キングスの『なみだの操』、あれ、あかんやろ。 おっさんが歌うからよりキモいと思ってしまうのかもしれない(失礼) 似た系統の「塩辛声のおっさんが歌う古い女(男にとっての都合のエエ女)の歌」といえば宮史郎とぴんからトリオの『女のみち』もある。っていうか、こっちが先。 この歌は旅芝居界でも1,2を争うイケメン

その街とその場所 もっきり・街歩き・昼の銭湯

土曜日の午前中に自転車を走らせていて、 商店街で降りてそのまま押して歩いた。 一軒の酒屋の前でジャージ姿のおっちゃんが自転車を降り、停め、そのまま店に入った。 中からお仲間たちの迎える声「おはよー」 酒屋の店のちいさなカウンターで駄菓子だとかおかみさんが拵えるちょっとしたおかずなんかをつつきながら呑むアレ、角打ちというやつだ。 じろじろ見るのも失礼やし、通る際にちらっとだけ見たら、 数人のおっちゃんらがいわゆる「もっきり」を並べてわいわいやってた。 桝の中に置いたグラスに日本

故郷とHome/老ガードマン、寿司屋にて(omake.ボン・ジョヴィおじさん)

先日、お寿司を食べる機会があった、てか仕事絡みのお付き合いがあった。 大阪でも有名な店、回らない、でも高級でもない、が、人気店らしい。 大衆的な、観光ガイドブックにも載っている店なのだと。 開店前から長蛇の列だった。ランチ何時になるねん。 同店にはボン・ジョヴィやKISSも来たらしい。 彼らはこうして並びはしなかっただろうのに! という、意味不明なうらみ羨みの気分。 そもそもそんなにお寿司好きでもないし! 今それどころじゃないし!(失礼) なんと混雑が故に列を整備する警備員

格好良さ、もとい、かっこええとは(的な)🌹

オープンカーを見た、先日のこと。 我らがなんの変哲もない大阪の端っこの街にて、日暮れ頃に。 オッサンがひとり乗っていた。 信号で止まった瞬間、オッサンは欠伸をひとつした。 そのまま信号が青になり、オッサンはぶろろろろーっと去っていった。 たまに見る。 なんの変哲もない街の中で浮いているみたいなオープンカーだかスポーツカーだかを。 乗ってるのはイケメン、ということはあまりない。 韓流スターもハリウッドスターも野球選手もオカダ・カズチカ(ランボルギーニだっけフェラーリだっけ?)

街中で聴いた、とあるマーチ🍞🥖🦸に

行きつけの病院にアレルギーの薬をもらいにいく日だった。 処方箋を出してもらい、しばらく待つ。 私の耳に飛び込んできたのは聞き慣れた歌の電子音ver,だった。 「そうだ恐れないでみんなのために、愛と勇気だけが友達さ」 受付横の子供用のプレイルームというのだろうか、 患者のお子さんや患者であるお子さんが大人しく待つため待てるために 用意されたぬいぐるみだの玩具だのを置いてあるスペースで、 ちびっこがおもちゃのピアノ的なものの鍵盤を叩いていた、あのアニメの。 私はちびっこがそれほ