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薬膳空想物語 『七十二候の食卓』

啓蟄
桃始笑 ~もも、はじめてさく~  八皿目


桃色のぷっくりしたつぼみが膨らみ、桃の花が開き始めるころ。

道端に寝っ転がって日向ぼっこをしている猫を見つけた時。
美味しい炊きたてのごはんを頬張った時。
お母さんの背中ですやすや寝ている赤ちゃんに遭遇した時。
こうして美しい桃の花を愛でた時。
ふわっと自然にこぼれる笑みは、何も言葉を発しなくても思わず溢れでる。


『桃季もの言わざれども下自ずから蹊を成す』

とうりものいわざれども、したおのずからみちをなす


桃やすももは何も言わなくても花や実に惹かれて自然と集まってきてその木の下に道ができる。
魅力や徳のある人にはおのずと人が集まってくるという例えである。
〈史記:季将軍‐伝賛より〉


何も言わなくても自然に集まってくるってすごい事だなぁと思う。
花はただひたすらそこに居て、咲き、笑みをもたらす。
桃の花が咲き、夏になれば桃の実がなる。
その下には自然と道(蹊)ができる。

それがもし人物となったら…の話なら、なお更高尚なことだろう。
仏か菩薩様の域にすら思える。


原点に戻ろう。
何を愛でて、どこに向かうか。

その先の自ら通う蹊を探そうと思う。


『白い炊きたてのご飯』(※1)

白米を3合用意する。
お米を数回やさしく研ぐ。
650~700ml水を入れて土鍋に入れしばらく浸水させる。
中火で15分炊き、その後弱火にして15分炊く。
炊き終えたら10分蒸らす。
土鍋の底からふんわりできた白米をすくい上げ器に盛る。



※1 白米:食味/甘  食性/平  帰経/脾・胃
●食味:酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味([かんみ]塩からい味)を五つに分けたもの(五味ともいう)
●食性:熱性・温性・平性・涼性・寒性と食物の性質を五つに分類したもの(五性ともいう)
●帰経:生薬や食材が身体のどの部分に影響があるかを示したもの。ここでいう五臓は「肝・心・脾・肺・腎」の事だが、単に臓器の働きにとどまらず精神的な要素も含まれ、ひとつひとつの意味は広義にわたる。

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