読書感想文『イノセント・デイズ』 早見和真著
まず、今回は強くはっきり言っておきたいことがあります。
それは、
私の感想を鵜呑みにしないでほしい。
ということです。
どうしてかというと、私の感想を読んで、誤解されたり、私の感想自体が間違ってる可能性があるからです。
それでも、私は、感想文をアップしたい。
そのくらい、この作品が素晴らしいからです。
そして、この記事にたどり着いたみなさんにぜひ、読んでいただきたい。
とにかく、いろんな感情や思いが溢れ出て、文章力のない私がまとめることができるのか?かなり自信がないんですが、今ある思いのタケをアップできればなと思います。
まずは、あらすじから。
田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は・・・筆舌に尽くせぬ孤独を描いた慟哭の長編ミステリー。
全編457ページと、そこそこ分厚いです。
その分、読み応えもあったと思いますが。。
主人公の田中幸乃は、6年もの間、死刑が執行されるのを待ち望んでいた。
死にたいと生きたいは、同義語だ。。
私はこの本を読み終わってもそう思ってた。
けど、
読み終わってから1日たった今、
果たしてそうだろうか?とも思う。
この本を読んで
『人を殺して死刑になりたかった』殺人犯の気持ちが少しだけわかったような気がする。
『身勝手』なことは百も承知だ。
決して許されることではない。
けど、それを声高に叫んでも、『人を殺して死刑になりたかった』殺人犯はこれからも現れるだろう。
あらすじにもある『あまりにも哀しい真実』
そう、真実は別のところにある。
私たちが、いかにメディアというものに引っ張られ、自分の中の正義感をおしつけ、どこに人を裁く権利があると言うのだろう?
罪を犯した人を裁けるのは裁判官と被害者だけだ。
この小説のすごいところは、その被害者ですら、もしかしたら『真実』を知らない可能性があるということだ。
ただし、行われた放火で妻と子供が亡くなった事実に変わりはない。
被害者にとって、自分の思う『真実』と本当の『真実』が違っていたとしても、さほど重要ではないだろう。
しかも、この被害者ですら、本当の姿は違ったのだから。。
人は、少なからず、『罪』を背負っているのかもしれない。
『罪』とまでは言わないにしても、『後ろ暗いこと』。
人には言えない『小さな罪』。
そして、それを救おうとする人。
果たして、それが『救い』になるのだろうか?
良かれと思って差し伸べた手が相手にとって『救い』になるのだろうか?
それは『エゴ』というものではないのか?
印象に残った文章をここにアップします。
判決理由とは本来誰のためのものなのだろう?
はじめて死刑判決の理由を聞いたとき、そう感じたのを覚えている。これから死を宣告される者に対し、だから納得しなさいというものなのか。それとも怒りに駆られた遺族や市民に対し、これをもって溜飲を下げろということか。
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死刑になりたくない者にとってはそうかもしれない。
けど、死刑を望んでる者にとって、判決理由になんの意味があるのだろう?
最後に、もうひとつだけアップします。
「もし本当に私を必要としてくれる人がいるんだとしたら、もうその人に見捨てられるのが恐いんです。」
「それは何年もここで耐え忍ぶことより、死ぬことよりずっと恐いことなんです」
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私は、この言葉をいまだに理解できないでいる。
気持ちはわかるんだけど、どうしても違和感がとれない。
みんな、誰かから必要とされたい。
必要とされて、「ありがとう」と言われたら嬉しい。
人は、誰かと関わらずには生きていけない。
ありきたりだけど、でも、
それが全てじゃない。
みんな、結局はどこか『自分勝手』な生き物なんだ。私も。
だから、この言葉が私にとって、数学の応用問題のように難しい。
どうしても、解けないのだ。
私は、前から言ってるように、
『終わりよければ全てよし』だと思ってる。
この小説が、無事、こういう結末で終わったことにホッとしている。
もしかしたら、結末に関しては賛否が分かれるかもしれない。
私は、これで良かった派です。
私は
美しい死などないと思うし、死を肯定するつもりも全くありません。
だからといって、むやみやたらに
生きて!とも思いません。
それこそ『偽善』だと思うから。
ここまで、読んでいただきありがとうございました。
何度も申し上げますが、ひとつの『感想』として受け取ってもらえるとありがたいです。
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